判旨
最高裁判所に対する抗告において、民事訴訟法413条(旧法)の適用はなく、同条に基づく法令違背の主張は判断の対象とならないため、判断遺脱による再審事由(旧420条1項9号)は認められない。
問題の所在(論点)
最高裁判所に対する抗告申立てにおいて、旧民事訴訟法413条(法令違背による破棄)の適用があるか。また、同条に基づく主張に対し判断を示さなかったことが、再審事由としての判断遺脱に該当するか。
規範
最高裁判所が抗告に関して裁判権を有するのは、訴訟法において特に最高裁判所への抗告が許容されている場合に限定される。したがって、特別抗告(現行336条相当)等の明文規定がある場合を除き、上告受理に関する規定や法令違背の主張(旧413条)を準用・適用して判断を下すべき限りではない。
重要事実
申立人は、東京高等裁判所の決定に対し、民事訴訟法9条の解釈誤り(法令違背)があるとして、旧413条に基づき最高裁判所に抗告を申し立てた。最高裁判所がこの法令違背の主張について判断を示さずに決定(原決定)を下したため、申立人はこれが「重要事項の判断遺脱」(旧420条1項9号)にあたるとして再審を申し立てた。
あてはめ
最高裁判所への抗告が認められるのは旧419条の2(現在の特別抗告等)に限定されており、これには上告に関する旧413条の規定は適用されない。そのため、最高裁判所は申立人の主張する法令違背の有無について判断する義務を負わない。義務のない事項について判断を示さないことは当然であり、再審事由としての判断遺脱には当たらないと解される。
結論
最高裁判所に対する抗告に旧413条の適用はなく、判断遺脱の再審事由は認められないため、本件再審申立てを却下する。
実務上の射程
事件番号: 昭和25(ク)78 / 裁判年月日: 昭和26年2月12日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】憲法32条の裁判を受ける権利は、裁判所以外の機関によって裁判をされないことを保障するものであり、個別の訴訟法上の管轄権を有する具体的裁判所において裁判を受ける権利までを保障するものではない。 第1 事案の概要:抗告人は、相手方に対する保険金請求事件において、甲府地方裁判所には管轄権がないとして東京…
最高裁への不服申立てが極めて限定的(憲法違反や判例違反等)であることを示す。抗告において一般の法令違背を主張しても最高裁に判断義務はなく、判断されずとも再審事由にならないという実務上の限界を画定している。
事件番号: 昭和25(ク)143 / 裁判年月日: 昭和25年12月27日 / 結論: 却下
【結論(判旨の要点)】最高裁判所が抗告に関して裁判権を有するのは、訴訟法において特に最高裁判所への抗告申し立てが許容されている場合に限定される。 第1 事案の概要:抗告人等が最高裁判所に対して抗告を申し立てた事案であるが、当該抗告が法律上最高裁判所に認められた特定の抗告(旧民事訴訟法419条の2等)に該当するかどうかが…
事件番号: 昭和25(ク)148 / 裁判年月日: 昭和25年12月26日 / 結論: 却下
【結論(判旨の要点)】最高裁判所が民事事件の抗告について裁判権を有するのは、法律により特に許された場合に限られ、その抗告理由は憲法適合性に関する判断の不当をいうものに限定される。 第1 事案の概要:抗告人が、下級審の決定に対して最高裁判所に抗告を申し立てた事案である。しかし、当該抗告理由の内容は、原決定における憲法適合…
事件番号: 昭和22(ク)5 / 裁判年月日: 昭和22年12月10日 / 結論: 却下
抗告は、民訴応急措置法第七条又は刑訴応急措置法第一八条に定める抗告のように、訴訟法において特に最高裁判所に申し立てることを許したものを除いては、最高裁判所に、これを申し立てることができない。
事件番号: 昭和26(ク)43 / 裁判年月日: 昭和26年5月16日 / 結論: 却下
【結論(判旨の要点)】最高裁判所が抗告に関して裁判権を有するのは、民事訴訟法(旧法)において特に許容された場合に限定される。したがって、最高裁判所に対する抗告理由は、原決定における憲法判断の不当性を主張するものに限られ、それ以外の事由を理由とする抗告は不適法である。 第1 事案の概要:抗告人が、下級審の決定に対し、最高…