判旨
最高裁判所に対する抗告は、原決定における憲法判断の不当を理由とする場合に限られ、単なる訴訟手続法規の解釈の誤りを憲法違反と主張するものは不適法である。
問題の所在(論点)
民事訴訟において最高裁判所に対する抗告が許容される要件、および単なる訴訟手続の解釈の誤りを「憲法違反」と称して主張することが適法な抗告理由となり得るか。
規範
最高裁判所に対する抗告(特別抗告)の理由は、原決定において法律、命令、規則又は処分が憲法に適合するかしないかについてした判断が不当である場合に限定される。単なる訴訟手続法規の解釈や適用の誤りを主張することは、憲法違反の主張には当たらない。
重要事実
抗告人は、原決定が憲法32条に違反すると主張して最高裁判所へ抗告を申し立てた。しかし、その主張の実質は、原審における訴訟手続法規の解釈を非難するものであった。
あてはめ
本件において、抗告人は憲法32条違反を主張しているものの、その内容は原審の訴訟手続法規の解釈を非難するものにすぎない。これは、形式的に憲法違反の名称を借りているだけであり、実質的には原決定における憲法判断の不当をいうものではない。したがって、法が定める適法な抗告理由を具備していないといえる。
結論
本件抗告は、適法な抗告理由を欠く不適法なものとして却下される。
実務上の射程
最高裁への特別抗告において、実質的に単なる法令違反や事実誤認にすぎない主張を「憲法違反」という構成で申し立てることはできない(いわゆる「名を憲法違反にかりる」主張の排除)。答案上は、特別抗告の要件を検討する際、実質的な憲法問題が含まれているかを厳格に判断する際の根拠として用いる。
事件番号: 昭和26(ク)196 / 裁判年月日: 昭和26年11月2日 / 結論: 却下
【結論(判旨の要点)】最高裁判所が抗告に関して裁判権を有するのは、訴訟法において特に許された場合に限られ、民事事件においては憲法違反の判断を不当とする特別抗告(旧民訴法419条の2、現行336条)のみが認められる。 第1 事案の概要:抗告人が最高裁判所に対して抗告を申し立てた事案。抗告理由は、形式的に憲法違反という用語…
事件番号: 昭和28(ク)176 / 裁判年月日: 昭和28年9月4日 / 結論: 却下
【結論(判旨の要点)】最高裁判所が抗告に関して裁判権を有するのは、訴訟法において特別の定めがある場合に限られ、民事事件においては憲法適合性の判断に関する不服申し立て(特別抗告)のみが認められる。 第1 事案の概要:抗告人等が、下級審の決定に対して最高裁判所へ抗告を申し立てた。抗告人は、原決定(下級審の判断)が憲法に適合…
事件番号: 昭和46(し)17 / 裁判年月日: 昭和46年3月31日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】本件抗告は、原決定の憲法違反を主張するものであるが、刑訴応急措置法18条1項に規定される適法な抗告理由に該当しないため、棄却されるべきである。 第1 事案の概要:抗告人が原決定の判断について憲法違反を主張して本件抗告を申し立てた事案。具体的な事案の内容や、原決定がどのような法的判断を下したかについ…
事件番号: 昭和28(ク)154 / 裁判年月日: 昭和28年7月22日 / 結論: 却下
【結論(判旨の要点)】最高裁判所が民事事件の抗告に対して裁判権を有するのは、原決定における憲法解釈の誤りを主張する場合(旧民訴法419条の2)に限られる。単なる手続違背の主張は、憲法違反の主張には当たらず、最高裁判所に対する適法な抗告理由とならない。 第1 事案の概要:抗告人は、原決定が「国民の人権を無視し憲法違反であ…
事件番号: 昭和26(ク)176 / 裁判年月日: 昭和26年10月6日 / 結論: 却下
【結論(判旨の要点)】最高裁判所が抗告に関して裁判権を有するのは、訴訟法が特に定めた場合に限られ、民事事件においては、原決定の憲法適合性に関する判断を不当とするもの(特別抗告)に限定される。 第1 事案の概要:抗告人は、民事事件の決定に対して最高裁判所へ抗告を申し立てた。しかし、その抗告理由の内容は、原決定が憲法に違反…