判旨
最高裁判所に対する抗告は、原決定における憲法判断の不当を理由とする場合に限られ、単なる訴訟法違反の主張を憲法違反に名を借りて述べることは許されない。
問題の所在(論点)
忌避申立却下決定に対する不服申し立てにおいて、訴訟法上の手続的違法を憲法違反として主張することが、最高裁判所に対する適法な抗告理由(旧民事訴訟法419条の2、現行の特別抗告に相当)に該当するか。
規範
最高裁判所に対する抗告(特別抗告)の理由は、原決定において法律、命令、規則又は処分が憲法に適合するかしないかについてした判断が不当である場合に限定される。単なる訴訟法規の誤解や訴訟法違反の主張は、実質的に憲法違反の問題を含まない限り、適法な抗告理由とはならない。
重要事実
抗告人は、立証準備のための公判期日続行申請が容れられなかったことが裁判官の忌避事由に当たると主張し、忌避申立却下決定に対する抗告を棄却した原決定に対し、憲法11条および12条に違反するとして最高裁判所へ抗告を申し立てた。
あてはめ
抗告人の主張は、裁判官が期日続行申請を却下したことを捉えて裁判の公正を妨げる事由があるとするものであり、その実態は単なる訴訟法規の適用に関する不服にすぎない。これを憲法11条・12条違反と称することは、単に名を憲法違反に籍りて訴訟法違反を主張するものといえ、憲法適合性に関する判断の不当をいうものには当たらない。
結論
本件抗告は適法な抗告理由を欠く不適法なものとして、却下されるべきである。
実務上の射程
憲法違反を理由とする特別抗告において、単なる訴訟法違反を「憲法違反」と読み替えただけの主張は排除されるという門前払いの法理を示す。答案上は、特別抗告の要件を満たすかの検討において、主張の性質が実質的に憲法問題か単なる法令違反かを峻別する際の根拠として機能する。
事件番号: 昭和26(ク)10 / 裁判年月日: 昭和26年5月24日 / 結論: 却下
【結論(判旨の要点)】最高裁判所が民事事件の抗告について裁判権を有するのは、法律により特に許された場合に限られ、その抗告理由は原決定における憲法判断の不当性に限定される。 第1 事案の概要:抗告人が最高裁判所に対して抗告を申し立てた事案。抗告人が主張した抗告理由は、原決定において法律、命令、規則又は処分が憲法に適合する…
事件番号: 昭和24(ク)24 / 裁判年月日: 昭和24年8月12日 / 結論: 却下
【結論(判旨の要点)】最高裁判所に対する抗告は、訴訟法が特に最高裁判所の権限に属するものと定めた場合を除いては、これをすることができない。特別抗告(民訴法419条の2、現行336条1項)は憲法の判断が不当であることを理由とする場合に限られ、それに該当しない抗告は不適法である。 第1 事案の概要:抗告人が、下級裁判所の決…
事件番号: 昭和26(ク)176 / 裁判年月日: 昭和26年10月6日 / 結論: 却下
【結論(判旨の要点)】最高裁判所が抗告に関して裁判権を有するのは、訴訟法が特に定めた場合に限られ、民事事件においては、原決定の憲法適合性に関する判断を不当とするもの(特別抗告)に限定される。 第1 事案の概要:抗告人は、民事事件の決定に対して最高裁判所へ抗告を申し立てた。しかし、その抗告理由の内容は、原決定が憲法に違反…
事件番号: 昭和26(ク)35 / 裁判年月日: 昭和26年5月21日 / 結論: 却下
【結論(判旨の要点)】最高裁判所が抗告に関して裁判権を有するのは、訴訟法上特に許された場合に限られ、民事事件においては、原決定の憲法適合性に関する判断の不当を理由とする場合に限定される。 第1 事案の概要:抗告人が最高裁判所に対して抗告を申し立てた事案であるが、その抗告理由は、原決定における憲法解釈の不当を指摘するもの…
事件番号: 昭和26(ク)192 / 裁判年月日: 昭和26年10月17日 / 結論: 却下
【結論(判旨の要点)】最高裁判所が抗告に関して裁判権を有するのは、訴訟法上特に許された場合に限られ、民事事件においては、原決定の憲法適合性に関する判断を不当とする抗告理由(旧民訴法419条の2)がある場合に限定される。 第1 事案の概要:抗告人らが最高裁判所に対して抗告を申し立てた事案。抗告人らが主張した抗告理由は、原…