判旨
訴状に所定の印紙が貼付されていない場合であっても、上級審において不足分の印紙が追貼されれば、当該訴状は当初から有効なものとして取り扱われる。
問題の所在(論点)
訴状に所定の印紙の貼付がない、または不足している場合において、上級審で印紙を追貼することにより、その訴状は当初から有効なものとして治癒されるか。
規範
訴状に貼付すべき印紙の不足は補正可能な瑕疵であり、上級審において印紙を追貼した場合には、その遡及効により、訴状は提出時に遡って有効となる。
重要事実
被上告人は、第一審において一旦取り下げた訴状を流用して新訴を提起したが、その際、訴状に所定の印紙を貼付していなかった。第一審および控訴審を経て、上告審(最高裁)の段階に至り、被上告人は不足していた所定の印紙を追貼した。これに対し上告人は、有効に係属していない訴訟につきなされた判決であるとして、原判決の違法を主張した。
あてはめ
本件において、被上告人は新訴提起の際に印紙を貼付していなかったが、記録によれば、最高裁判所への係属中に所定の印紙を追貼したことが明らかである。印紙の貼付は訴訟要件の不備を補完する手続的行為であり、これがなされた以上、訴状提出時に遡って有効な訴訟提起があったものと評価される。したがって、第一審および控訴審において印紙が不足していたとしても、追貼によりその瑕疵は解消される。
結論
印紙の追貼により訴状は当初から有効となるため、原判決に訴訟係属に関する違法はない。上告は棄却される。
実務上の射程
訴状の印紙不足という形式的な不備は、上級審であっても補正可能であり、補正されれば遡及的に有効となる(訴追の有効性)。答案上は、訴訟要件の欠缺が後の段階で治癒される具体例として、または上訴審における補正の可否を論じる際の論拠として利用できる。
事件番号: 昭和24(オ)193 / 裁判年月日: 昭和27年12月25日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】裁判所が証拠調べの申請に対し明示的な採否の決定をせず結審しても、訴訟指揮の経過から黙示的に排斥したと認められ、かつ代替的な立証措置が講じられている場合は違法ではない。また、理由中で「争いがない」と誤記されていても、実質的に判断が示されていれば理由不備には当たらない。 第1 事案の概要:上告人(被告…
事件番号: 昭和29(オ)858 / 裁判年月日: 昭和31年4月10日 / 結論: 棄却
下級審に差し出された訴訟書類の正本に貼用された印紙に不足があつた場合に、これを上級審において追貼すれば、その瑕疵は補正されその書類は始めに遡つて有効となるものと解すべきである。