判旨
訴えの変更(請求の拡張)において、印紙の貼用を欠く不備があったとしても、その後に適法な印紙の追貼がなされれば、当該手続上の瑕疵は治癒され、有効な訴えの変更として認められる。
問題の所在(論点)
訴えの変更による請求の拡張に際し、当初印紙の貼用を欠いていた場合、後に印紙を追貼することでその瑕疵は治癒され、適法な請求拡張として認められるか。
規範
訴えの変更(民事訴訟法143条)に伴う請求の拡張がなされる際、手数料(印紙)の納付に不備がある場合であっても、後に適法な追貼がなされたときは、当該申立ては適法なものとして扱われる。
重要事実
上告人は、昭和31年6月4日になされた請求拡張部分について、印紙の貼用がないことを理由に手続の違法を主張した。しかし、記録上、当該不足部分については後日に適法な印紙の追貼がなされていたことが確認された。
あてはめ
本件では、請求拡張の申立て時点では印紙の貼用が欠けていたものの、訴訟記録によれば、その後に適法な印紙の追貼が行われた事実が認められる。このように、不足していた手数料が適法に補完された以上、手続上の不備は解消されており、当該請求拡張を無効とする理由はない。
結論
請求拡張につき印紙の追貼がなされている以上、手続に違法はなく、上告を棄却する。
実務上の射程
訴状や訴えの変更申立書における印紙の貼用欠如は、補正可能な瑕疵であり、裁判所の補正命令や当事者の任意による追貼によって治癒されることを確認した事例である。実務上は、印紙未貼付を理由に直ちに却下されるのではなく、補正の機会が与えられるべき運用の基礎となる。
事件番号: 昭和40(オ)1334 / 裁判年月日: 昭和42年6月1日 / 結論: 破棄差戻
二審において、全部勝訴した当事者が、判示の記載のような請求の趣旨の拡張の申立をしたときには、実質的に附帯控訴の申立をしたものと解することができる。
事件番号: 昭和37(オ)1034 / 裁判年月日: 昭和38年5月31日 / 結論: 棄却
数個の証拠を総合して事実を認定した場合に、右証拠のうちに認定事実と矛盾するものがあつても、残余の証拠によつて右事実が認定できる以上は、右違法は民訴第三九四条にいわゆる判決に影響を及ぼすこと明らかなる法令の違背にあたらない。