判旨
税額更正前に督促手続がなされている場合、その後の誤謬訂正等により税額が減少したとしても、改めて督促手続を経ることなく、当初の督促に基づき差押処分を行うことができる。
問題の所在(論点)
国税徴収法上の差押えの前提となる督促手続について、督促後に税額が減少した場合、改めて減少後の税額を対象とした督促を行う必要があるか。
規範
税額の確定後に督促手続が適法になされたのであれば、その後の更正等によって滞納額が減少したとしても、減少後の税額について改めて督促をする必要はなく、既になされた督促手続を基礎として滞納処分(差押え)を行うことが可能である。
重要事実
課税当局が滞納者に対し督促状を発した後に、誤謬訂正による税額の減少や公売代金の充当等により、実際の滞納額が当初の督促時の金額から減少した。当局は、減少後の滞納額について改めて督促手続を行うことなく、以前の督促手続に基づいて差押処分を執行した。これに対し、納税者は再度の督促を欠く差押えは国税徴収法に違反すると主張して争った。
あてはめ
本件では、当初の税額に基づき既に適法な督促手続が完了している。その後に誤謬訂正等の事由により滞納額が減少したに過ぎない場合、納税者の義務の範囲が縮小しただけであり、納税者にとって不意打ちとなることはない。したがって、減少後の滞納額について改めて督促を求める必要はなく、先行する督促手続の効力は維持されると解すべきである。また、即刻納付を求める督促であっても、遅滞なく納付すべき旨を催告した趣旨と解せるため、期限の指定として有効である。
結論
税額減少後の再度の督促は不要であり、当初の督促に基づきなされた差押処分は適法である。
実務上の射程
行政不服審査や取消訴訟において、先行する督促手続の瑕疵や必要性を争う際の反論(手続の続行性)として活用できる。税額が増額された場合にはあてはまらない(増額分には新たな督促が必要)点に注意が必要である。
事件番号: 昭和30(オ)835 / 裁判年月日: 昭和33年5月29日 / 結論: 破棄差戻
【結論(判旨の要点)】控訴期間内に提出された書面が、標記は「訴状」であっても内容から控訴状と認め得る場合は、不備があっても直ちに控訴を不適法として却下すべきではなく、補正を命じる等の適切な手続を執るべきである。 第1 事案の概要:第一審判決の正本送達(昭和30年2月7日)後、控訴期間内である同月17日に、第一審裁判所へ…
事件番号: 昭和33(オ)692 / 裁判年月日: 昭和35年2月4日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】行政処分に対する出訴期間の起算点は、原則として最初の処分または審査決定の告知があった時から進行し、法令上の根拠がない再審査請求によってその進行が阻止されることはない。また、当初の処分の一部を取り消す等の誤謬訂正決定がなされても、当初の処分から既に経過した出訴期間が改めて進行を開始することはない。 …