判旨
控訴期間内に提出された書面が、標記は「訴状」であっても内容から控訴状と認め得る場合は、不備があっても直ちに控訴を不適法として却下すべきではなく、補正を命じる等の適切な手続を執るべきである。
問題の所在(論点)
控訴期間内に提出された「訴状」と題する書面を控訴状と認めて、記載不備の補正を命じるべきであったか。また、期間後に提出された「控訴状」により、期間内の書面の不備が補完されたと評価できるか。
規範
書面の標記が「控訴状」でない場合であっても、その文面から控訴状と認め得る余地があるときは、記載事項の欠欠を理由に直ちに控訴を不適法として却下することは許されない。裁判所は、補正命令(旧民訴法370条、228条)を発して記載の不備を是正する機会を与えなければならず、補正がなされた場合には遡って適法な控訴として取り扱うべきである。
重要事実
第一審判決の正本送達(昭和30年2月7日)後、控訴期間内である同月17日に、第一審裁判所へ「訴状」と題する書面が提出された。その後、期間経過後の4月30日に改めて「控訴状」と題する書面が提出された。原審は、期間内に提出された前者の書面を控訴状とは認め難いとし、本件控訴を期間徒過による不適法なものとして却下した。
あてはめ
期間内に提出された「訴状」と題する書面は、標記こそ異なるが文面上は控訴状と認められないものではなく、単に形式的記載事項を完全に備えていないに過ぎない。したがって、裁判所は相当の期間を定めて補正命令を発すべきであった。本件では、後に提出された「控訴状」と題する書面を補正書面と認めることが可能であり、漫然と不適法却下した原審の判断は違法といえる。
結論
原判決を破棄し、差し戻す。本件控訴を期間徒過として却下した原審の判断には、控訴状の受理および補正に関する法理の誤用がある。
実務上の射程
当事者が書面の形式を誤った場合でも、その真意が上訴の提起にあると合理的に解釈できるならば、裁判所は釈明権や補正命令を適切に行使し、手続き的利益を保護すべきであるという実務上の指針を示す。答案上は、訴訟条件の具備や不備の治癒を検討する際の考慮要素として活用できる。
事件番号: 昭和33(オ)10 / 裁判年月日: 昭和36年9月22日 / 結論: 棄却
再審の訴提起後に再審事由を変更した場合においては、変更の時に新再審事由による訴の提起があつたものとして出訴期間を計算すべきである。