数個の証拠を総合して事実を認定した場合に、右証拠のうちに認定事実と矛盾するものがあつても、残余の証拠によつて右事実が認定できる以上は、右違法は民訴第三九四条にいわゆる判決に影響を及ぼすこと明らかなる法令の違背にあたらない。
判決に影響を及ぼすこと明らかなる法令の違背にあたらないとされた事例。
民訴法394条
判旨
訴状等に貼付すべき印紙が不足している場合であっても、上告審等の後級審において所定の印紙が追貼されたときは、当該申立書は当初に遡って有効となる。
問題の所在(論点)
訴訟の申立書に貼付すべき印紙が不足している場合において、後級審で印紙が追貼されたことにより、当該申立てが遡及的に有効となるか。
規範
訴訟上の申立書(請求の拡張の申立書等)に貼付された印紙額が不足している不備がある場合であっても、後に不足分の印紙が適正に追貼されたときは、その不備は補正されたものとみなされ、当該申立書は提出時に遡って有効なものとして取り扱う。
重要事実
被上告人(原告)は、第一審では建物の収去を求めていたが、控訴審において土地所有権確認の請求を拡張した。しかし、その申立書には20円の印紙しか貼付されていなかった。上告審に至り、被上告人は不足していた所定の印紙を追貼した。上告人(被告)は、控訴審における請求拡張の申立てが印紙不足により無効であると主張して上告した。
事件番号: 昭和35(オ)1193 / 裁判年月日: 昭和38年6月4日 / 結論: 棄却
一 甲を被告としてA建物の一部につき使用貸借の終了を原因とする明渡請求をするとともに、乙を共同被告としてA建物の右以外の部分およびB建物などの不法占拠を理由とする明渡請求をする訴の係属中に、乙が退去し、事後甲が乙の占拠していた右部分およびB建物などを占有するに至つた場合、A建物全部とB建物などにつきいずれも所有権に基づ…
あてはめ
本件において、被上告人が控訴審で行った請求の拡張の申立書には印紙20円のみが貼付されており、所定の額に達していなかった。しかし、記録によれば、被上告人は当審(上告審)において不足分の印紙を追貼している。このように、不備があった書面について事後的に適正な追貼がなされた以上、当該申立書は提出時に遡って有効になったと解するのが相当である。したがって、控訴審における手続に違法があるとする上告人の主張は理由がない。
結論
印紙の追貼により申立ては当初に遡って有効となる。したがって、本件上告は棄却される。
実務上の射程
実務上、印紙の不備は補正可能な事項であり、判決確定前であれば後級審での追貼によっても遡及的に治癒されることを確認した。答案上は、訴訟要件や手続の適法性が問題となる場面で、形式的な不備が追貼により治癒され得る根拠として活用できる。
事件番号: 昭和38(オ)435 / 裁判年月日: 昭和39年5月29日 / 結論: 棄却
一 控訴審における請求の拡張は、請求の基礎に変更がない場合は勿論、たとえ請求の基礎に変更があつても、相手方が異議なく応訴した場合は許されるべきである。 二 請求の拡張についての書面の提出または送達の欠缺は、責問権の喪失によつて治癒される。
事件番号: 昭和38(オ)1407 / 裁判年月日: 昭和39年11月24日 / 結論: 棄却
請求権保全の仮登記でも、これに基づく本登記がなされたときは、仮登記以後におけるこれと相容れない中間処分の効力を否定する効果を有するものと解すべきであり、所有権移転請求権保全の仮登記以後における所論賃借権の設定も右にいう仮登記と相容れない中間処分たるを失わない(昭和三三年(オ)第八七一号同三六年六月二九日第一小法廷判決、…
事件番号: 昭和33(オ)657 / 裁判年月日: 昭和36年7月21日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】賃料の支払催告において、催告額が正当な額を超過していても、債権者に正当額の提供では受領しない意思が明確でない限り、正当額の限度で催告は有効である。 第1 事案の概要:賃貸人(被上告人)が賃借人(上告人)に対し、約1年分の延滞賃料として2万377円の支払を3日以内に催告した。しかし、当時の賃料統制額…
事件番号: 昭和33(オ)1017 / 裁判年月日: 昭和36年4月6日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】第一審における訴訟代理人の権限は、特段の事情がない限り、同一の事件について上訴審における代理権をも含むものと解される。 第1 事案の概要:上告人は、原審(控訴審)において被上告人を代理した弁護士に代理権がなかった旨を主張して上告した。しかし、記録上、当該弁護士に対しては第一審段階で訴訟代理委任状が…