判旨
自作農創設特別措置法3条1項1号にいう「小作地」には、国内のいずれの市町村にも住所を有しない不在地主が所有する小作地も含まれる。したがって、住所の存否にかかわらず、当該要件を満たす農地の買収処分は適法である。
問題の所在(論点)
自作農創設特別措置法3条1項1号に定める「小作地」の範囲に、国内のいずれの市町村にも住所を有しない者が所有する小作地が含まれるか。
規範
自作農創設特別措置法3条1項1号の規定する小作地の範囲については、特定の市町村内に住所を有するか否かを問わず、国内のいかなる市町村の区域にも住所を有しない者の所有する小作地もこれに含まれると解するのが相当である。
重要事実
上告人は、昭和20年11月23日当時、特定の町(a町)に住所を有していたと主張し、本件農地の買収処分の違法を訴えた。しかし、原審は上告人が当該地に住所を有していたとは認められないと判断した。上告人は、住所を有しない者の所有地が同法3条1項1号の「小作地」に含まれるとする解釈や、住所認定の事実誤認を理由に上告した。
あてはめ
本件において、上告人が主張するa町に住所を有していた事実は原審によって否定されており、その判断に違法はない。同法3条1項1号の解釈として、住所の有無にかかわらず不在地主の所有する小作地は同条の対象に含まれるため、上告人が国内に住所を有しない場合であっても、本件農地が「小作地」として買収の対象となることに妨げはない。したがって、買収処分を適法とした原審の判断は正当である。
結論
本件農地の買収処分は適法であり、上告を棄却する。
実務上の射程
不在地主の農地買収に関するリーディングケースであり、住所要件の欠如が買収処分の妨げにならないことを明確にしている。行政処分における法律の適用対象の解釈において、条文の目的に照らした文理拡張の許容範囲を示す一例として活用できる。
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