判旨
不変期間である上告申立期間の遵守に関して、訴訟代理人からの誤った報告を信じたために期間を経過したとしても、それは「当事者がその責めに帰することができない事由」には当たらない。
問題の所在(論点)
訴訟代理人による送達日の誤報告を信じたことが、民事訴訟法上の不変期間の懈怠につき「当事者の責めに帰することができない事由」に該当するか。
規範
民事訴訟法第97条第1項(旧95条)にいう「当事者がその責めに帰することができない事由」とは、当事者が善良な管理者の注意を尽くしても、なお期間を遵守することができなかった客観的な事情を指し、訴訟代理人の過失は本人と同視される。
重要事実
上告人は、原判決が昭和26年3月24日に送達されたにもかかわらず、同年4月28日に上告状を提出した。上告人は、原審の訴訟代理人から「送達日は4月14日である」との誤った通知を受け、それを信じたために不変期間を懈怠したと主張して追完を求めた。
あてはめ
上告人が不変期間を遵守できなかったのは、自身の訴訟代理人による誤った通知を信頼したという内部的な事情に起因する。訴訟代理人の行為およびその過失は訴訟法上本人と同視すべきものであり、代理人の過誤を信じたことは、客観的に見て当事者の責めに帰すことができない外部的・不可抗力的な事由には当たらないと評価される。
結論
本件上告は不変期間経過後の不適法な申し立てであり、追完の事由も認められないため、却下を免れない。
実務上の射程
訴訟代理人の過失が本人の責めに帰すべき事由とされる原則を確認した事例である。実務上、代理人間での連絡ミスや事務員の過誤による期間懈怠は救済されないため、期間管理の厳格性が求められる。答案上は、期間追完の要件を検討する際の否定例として活用できる。
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