郵便送達報告書の誤記により控訴期間の起算日の認定を誤つたと判断された事例。
判旨
判決書の送達日が郵便送達報告書の誤記により誤って認定された場合、その誤った日に基づいて控訴期間の徒過を判断し控訴を却下した原判決には、控訴期間の起算日の認定を誤った違法がある。
問題の所在(論点)
郵便送達報告書の記載に誤記がある場合に、真実の送達日とは異なる誤記された日付を基礎として控訴期間の起算点を認定し、控訴を却下することは許されるか。
規範
控訴期間(民事訴訟法285条)の起算点となる判決の送達(同法285条但書、現行285条・101条以下)の事実は、職権調査事項であり、裁判所は真実の送達日に基づいて控訴の適法性を判断しなければならない。
重要事実
第一審判決正本の送達に関し、郵便送達報告書には「昭和37年7月17日」に送達した旨の記載があった。原審はこの記載を資料として送達日を同月17日と認定し、同年8月1日に提出された控訴状は2週間の不変期間を徒過した不適法なものであるとして却下した。しかし、実際には報告書の記載は誤記であり、真実の送達日は「昭和37年7月18日」であった。
あてはめ
当裁判所が職権をもって調査したところ、郵便送達報告書の「17日」という記載は「18日」の誤記であり、真実の送達日は昭和37年7月18日であると認められる。そうであれば、本件控訴状が同年8月1日に提出されたことは、真実の送達日から起算すれば控訴期間内であるといえる。したがって、原審が報告書の誤記をそのまま採用して送達日を認定し、期間経過による不適法却下とした判断は、客観的事実に基づかない違法なものである。
結論
控訴期間の起算日の認定に誤りがあるため、原判決を破棄し、本件を大阪高等裁判所に差し戻す。
実務上の射程
送達の事実認定に関する職権調査の重要性を示す。実務上、郵便送達報告書は強い証拠力を有するが、その記載が真実に反することが判明した場合には、報告書の記載よりも真実の送達日が優先されることを確認した事例である。
事件番号: 昭和34(オ)379 / 裁判年月日: 昭和35年7月26日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】判決言渡日等の附記を欠く判決正本の送達であっても、原本の内容と一致しており当事者が判決内容を知る機会を得たといえる場合には、最初の送達により控訴期間が進行する。また、不備を補正した正本が期間満了当日に再送達されたとしても、控訴提起が可能である限り、期間不遵守につき当事者の責めに帰すべからざる事由が…
事件番号: 昭和42(ク)270 / 裁判年月日: 昭和44年2月27日 / 結論: その他
上告期間起算日について誤記のある送達報告書に依拠し十分な職権調査を尽くさないでされた高等裁判所の上告却下決定に対しては、上告期間内に上告の提起があつたことを理由として、民訴法四二九条、四二〇条一項九号の規定により、再審の申立をすることができる。