判旨
自作農創設特別措置法15条1項2号による宅地・建物の買収は、公共の福祉の必要から行われるものであり、憲法14条及び29条に違反しない。また、買収対象となる宅地・建物は、売渡農地と密接不可分である必要はなく、自作農となるべき者の農業経営に必要と認められれば足りる。
問題の所在(論点)
自創法15条1項2号に基づく宅地・建物の買収において、当該物件が売渡農地と密接不可分の関係にある必要があるか。また、同条による買収が憲法14条および29条に違反するか。
規範
自作農創設特別措置法(以下「自創法」)15条1項2号にいう宅地・建物とは、売渡農地と密接不可分の関係にあることを要するものではなく、自作農となるべき者が売渡を受けた農地の農業経営に必要と認められるものを指す。また、同法に基づく買収は、自作農を創設し農業生産力を増進させるという同法1条の目的を達成するため、公共の福祉の必要から行われる正当な権利制限である。
重要事実
上告人は、自創法15条1項2号に基づき行われた本件宅地および建物の買収計画について、憲法14条(法の下の平等)および29条(財産権の保障)に違反するとして、その取消し等を求めて争った。原審は、本件宅地・建物が訴外Dの農業経営に必要なものであると認定し、買収を適法としていた。
あてはめ
本件宅地および建物は、自作農となるべき訴外Dの農業経営に必要であると認められる。この場合、当該物件が農地と地理的・構造的に密接不可分である必要はない。また、自創法1条の目的達成のための買収は公共の福祉に基づくものであり、適法な買収計画である以上、財産権の侵害や不平等な取り扱いには当たらないと評価される。
結論
本件買収計画は自創法の目的に適合し、公共の福祉の必要から行われるものであるため、憲法14条、29条に違反せず、上告を棄却する。
事件番号: 昭和25(オ)236 / 裁判年月日: 昭和29年7月19日 / 結論: 棄却
一 農地買収計画に対する異議決定に関与した村農地委員が、県農地委員会の委員して、右計画に対する訴願裁決に関与することは違法ではない。 二 行政事件訴訟特例法第一一条によつて農地買収計画に関する訴願裁決の取消を求める請求を棄却するについて、単に一般的に農地買収は公共の福祉のためになされる旨を判示し、具体的に当該事件につい…
実務上の射程
自作農創設という特定の政策目的の下での財産権制限に関する判断。現代の行政法・租税法等の文脈では、公共の福祉による財産権制限の合理的制約を認める文脈で参照される。判旨の核心は、買収対象の要件を「農業経営上の必要性」という機能的観点から解釈した点にある。
事件番号: 昭和27(オ)828 / 裁判年月日: 昭和29年2月26日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】自作農創設特別措置法による農地買収は公共の福祉に適合し、その対価は憲法29条3項にいう正当な補償にあたるため、同法に基づく買収処分は合憲である。また、先行する買収処分に重大明白な瑕疵がない限り、それに基づく売渡計画や訴願裁決も適法となる。 第1 事案の概要:農地委員会は、上告人が所有していた農地に…
事件番号: 昭和27(オ)679 / 裁判年月日: 昭和29年1月22日 / 結論: 棄却
自作農創設特別措置法第一五条第一項第二号による宅地の買収は、公共のためであつて、憲法第二九条第三項に違反しない。