判旨
裁判所が原告の請求の全部を認容する判決を言い渡した場合、当該判決は請求の一部を認容する判決には該当せず、上告理由に当たらない。
問題の所在(論点)
第一審裁判所が原告の請求を全部認容したにもかかわらず、これが「請求の一部を認容する判決」に該当するか。判決主文の解釈と、上告理由の有無が問題となる。
規範
判決が原告の請求の全部を認容したものである場合、主文の記載に照らして判断される。請求の一部認容の有無は、第一審判決の主文および認容された金額・付随請求の範囲に基づいて、客観的に確定されるべきである。
重要事実
被上告人(原告)が上告人(被告)に対し、金2万1900円およびこれに対する昭和24年6月25日からの年6分の遅延損害金の支払を求めた。第一審裁判所は、この請求の全部を認容し、請求通りの支払を命じる判決を言い渡した。これに対し上告人は、第一審判決が請求の一部を認容したものであると主張して上告した。
あてはめ
記録によれば、第一審判決の主文は「被告は原告に対して金弐万壱千九百円及びこれに対する……年六分の割合の金員を支払はねばならない」というものであった。これは被上告人の請求内容と完全に一致しており、全部認容判決であることが明白である。上告人が主張するような「一部認容判決」であるという事実は存在せず、論旨は前提を欠くといえる。
結論
本件判決は請求の全部を認容したものであることが明白であり、一部認容を前提とする上告理由には当たらないため、上告は棄却される。
実務上の射程
判決内容が全部認容か一部認容かは主文の形式的記載によって決せられる。請求の特定と判決主文の対照という、民事訴訟における基本的判断プロセスを確認したものである。実務上は、不服申立ての利益(上訴の利益)の有無を判断する際の基礎的な論点として機能する。
事件番号: 昭和26(オ)167 / 裁判年月日: 昭和26年9月21日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】上告理由が「最高裁判所における民事上告事件の審判の特例に関する法律」の各号に該当せず、法令の解釈に関する重要な主張も含まない場合、上告は棄却される。 第1 事案の概要:上告人が上告を提起したが、その論旨が最高裁判所における民事上告事件の審判の特例に関する法律1号ないし3号のいずれにも該当しない事案…