債務不存在確認請求訴訟において、原告主張の不存在事由が肯認できない以上、原告が右 事由の一として主張した履行不能による債務消滅に対する被告からの反対主張である履行 の事実が認められても、原告勝訴の判決をなすべきではない。
債務不存在確認請求訴訟において、被告主張の不存在事由のみが認められる場合と判決。
判旨
木材統制法2条に基づく売渡命令等の行政処分がない限り、立木の所有者が特定の相手方以外に売却することが禁止されていたとはいえず、その取引は直ちに公序良俗等に反し無効となるものではない。
問題の所在(論点)
木材統制法等の行政規制が存在する場合において、具体的な行政処分(売渡命令等)がなされていない状態で行われた立木取引の私法上の効力(公序良俗違反または強行規定違反による無効の成否)。
規範
行政規制(本件では木材統制法)に違反する私法上の取引が直ちに無効となるかは、当該規定が単なる取締規定か強行規定かによる。売渡命令や価格指定といった行政処分を前提とする規制体系において、具体的な処分がなされていない段階では、私人の契約自由は制限されず、取引は有効である。
重要事実
上告人(立木所有者)は、本件立木の取引が木材統制法上の規制に反する「闇行為」であり無効であると主張した。当時、同法2条は行政官庁による売渡命令の権限を、施行令1条等は地方長官による伐採勧奨を定めていた。本件では、上告人に対し伐採の勧奨はなされていた可能性があるが、同法2条に基づく具体的な売渡命令(売渡令書の交付)がなされた事実は証明されていなかった。
あてはめ
木材統制法2条及び施行規則によれば、立木の売渡相手が限定されるのは行政官庁による売渡命令があった場合に限られる。また、施行令上の「伐採勧奨」を受けていたとしても、それ自体では売渡相手を限定する法的拘束力は生じない。本件では売渡命令の存在が立証されていない以上、取引の自由は失われておらず、本件取引を「闇行為」として直ちに無効と判断することはできない。したがって、表示と意思の合致も認められ、契約は有効に成立し、履行済みであると解される。
事件番号: 昭和36(オ)1150 / 裁判年月日: 昭和39年10月16日 / 結論: 棄却
利息制限法は、金銭貸借の場合に限り適用すべきものであつて、再売買予約付の売買には適用がない。
結論
本件立木取引は有効であり、債務は履行済みであるため、上告人の請求を棄却した原審の判断は正当である。
実務上の射程
行政上の取締法規に違反する行為の私法上の効力が問題となる場面(民法90条・91条関連)で、個別具体的な行政処分の有無が有効・無効の境界線となることを示す。答案では、強行法規の性質決定において、処分の介在が必要な枠組みか否かを指摘する際に引用できる。
事件番号: 昭和26(オ)336 / 裁判年月日: 昭和27年5月6日 / 結論: 棄却
国が国税徴収法により納税人の有する債権を差し押えた後においても、右被差押債権の第三債務者は、差押前に取得した納税人に対する反対債権をもつて相殺することができる。
事件番号: 昭和26(オ)560 / 裁判年月日: 昭和28年11月12日 / 結論: 棄却
一 一抵当権設定契約とともになされた停止条件付代物弁済契約は、特段の事由のないかぎり、代物弁済の予約と解すべきものである。 二 右の場合において、抵当権を実行するか、代物弁済の予約を完結させるかは、債権者の選択に委される。
事件番号: 昭和26(オ)576 / 裁判年月日: 昭和32年9月5日 / 結論: 棄却
消費貸借上の貸主が、借主の窮迫、軽卒もしくは無経験を利用し、著しく過当な利益の獲得を目的としたことが認められない限り、利息が月一割と定められたという一事だけでは、この約定を公序良俗に反するものということはできない。
事件番号: 昭和34(オ)2 / 裁判年月日: 昭和36年5月23日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】後見人と被後見人との間の利益相反行為の有無は、行為の動機や実質的な利害関係ではなく、行為の態様から客観的に判断されるべきである。また、利益相反にあたらない行為や、適切な手続を経た追認は有効である。 第1 事案の概要:被後見人であった上告人と、その後見人であった訴外Dとの間で行われた特定の取引につい…