一 一抵当権設定契約とともになされた停止条件付代物弁済契約は、特段の事由のないかぎり、代物弁済の予約と解すべきものである。 二 右の場合において、抵当権を実行するか、代物弁済の予約を完結させるかは、債権者の選択に委される。
抵当権設定契約とともになされた停止条件付代物弁済契約の効力
民法369条,民法482条
判旨
貸金債務の負担に際し、抵当権設定と同時にされた停止条件付代物弁済契約は、特段の事由がない限り代物弁済の予約と解するのが相当であり、弁済期後の予約完結の意思表示により所有権が移転する。
問題の所在(論点)
抵当権設定と同時に締結された「停止条件付代物弁済契約」の法的性質をいかに解すべきか。また、その効力発生時期および予約完結の意思表示の要式性が問題となる。
規範
貸金債務の負担に際し、抵当権設定契約と同時又はこれに付加して停止条件付代物弁済契約がなされた場合、特段の事由のない限り、それは代物弁済契約の予約がなされたものと解する。債権者は、弁済期後に予約完結の意思表示をすることで所有権を取得でき、その意思表示に確定日付ある書面等は不要である。また、停止条件付契約の効力は条件成就の時から生じ、契約時に遡及しない。
重要事実
上告人(債務者)は、被上告人(債権者)から金員を借り受けるに際し、本件土地に抵当権を設定すると同時に、期限に弁済がないことを停止条件とする代物弁済契約を締結した。その後、弁済期が昭和19年10月末日まで延期されたが、上告人は弁済を行わなかった。被上告人は、昭和21年11月までに代物弁済契約に基づき本件土地の所有権を取得する旨の意思表示を行った。
あてはめ
本件契約を停止条件付代物弁済と解すると、期限徒過により当然に所有権が移転し、抵当権設定契約が無意義となる。そのため、債権者に抵当権実行か代物弁済かの選択を認める「代物弁済の予約」と解するのが当事者の合理的意思に合致する。本件では、被上告人が弁済期後に所有権取得の意思表示をしており、これにより予約完結権が行使されたといえる。意思表示は口頭等でも有効であり、遡及効も認められないため、意思表示時点での効力発生が認められる。
結論
本件契約は代物弁済の予約と解され、債権者が弁済期後になした意思表示によって土地の所有権移転の効力が生じる。したがって、被上告人が所有権を取得したとする原審の判断は正当である。
実務上の射程
抵当権と代物弁済予約が併用される実務上の構成において、特段の事情がない限りの原則的解釈(予約推認)を示した。民法482条の代物弁済の性質や、予約完結権の行使方法に関する答案構成において、当事者の意思解釈の準拠となる。
事件番号: 昭和26(オ)576 / 裁判年月日: 昭和32年9月5日 / 結論: 棄却
消費貸借上の貸主が、借主の窮迫、軽卒もしくは無経験を利用し、著しく過当な利益の獲得を目的としたことが認められない限り、利息が月一割と定められたという一事だけでは、この約定を公序良俗に反するものということはできない。
事件番号: 昭和36(オ)1150 / 裁判年月日: 昭和39年10月16日 / 結論: 棄却
利息制限法は、金銭貸借の場合に限り適用すべきものであつて、再売買予約付の売買には適用がない。
事件番号: 昭和32(オ)420 / 裁判年月日: 昭和34年6月25日 / 結論: 棄却
主たる債務者の委託を受けた保証人が将来免責行為をしたときに取得すべき求償権を担保する為に、主債務の額を極度額とする根抵当権が設定されていた場合、その保証人は、主債務の弁済期の到来後は、まだ免責行為をしてなくても、先順位抵当権による競売手続において極度額まで配当要求をなし得る。