主たる債務者の委託を受けた保証人が将来免責行為をしたときに取得すべき求償権を担保する為に、主債務の額を極度額とする根抵当権が設定されていた場合、その保証人は、主債務の弁済期の到来後は、まだ免責行為をしてなくても、先順位抵当権による競売手続において極度額まで配当要求をなし得る。
保証人の求償権を担保する根抵当権の民法第四六〇条第二号の場合における効力。
民法369条1項,民法460条2号本文,民法461条2項
判旨
民法460条2号による保証人の事前求償権の行使は、主債務が弁済期にあるという事実のみをもって認められる。求償権が根抵当権によって担保されている場合であっても、同条の適用が排除されることはない。
問題の所在(論点)
主債務が弁済期にある場合(民法460条2号)、保証人の求償権が根抵当権によって担保されていることは、事前求償権の行使を妨げる事由となるか。
規範
民法460条2号は、主債務が弁済期にあるという客観的事実に基づき、保証人の事前求償権を認めている。同条の適用に関し、求償権が根抵当権等の物的担保によって確保されているか否かを区別する合理的根拠はなく、条文の要件を満たす限り、一律にその行使が認められる。
重要事実
被上告人(保証人)は、主債務の弁済期が到来した(昭和30年11月2日)ことを理由に、事前求償権に基づき配当要求を行った。これに対し、上告人は、当該求償権が根抵当権によって担保されている場合には民法460条2号の保護を受ける必要がなく、同条の適用は除外されるべきであると主張して、配当要求の適法性を争った。
事件番号: 昭和40(オ)362 / 裁判年月日: 昭和40年12月17日 / 結論: 棄却
賭博行為によつて生じた金銭債権のためにされた抵当権設定登記の抹消を請求するについては、民法第七〇八条は適用されないものと解するのが相当である。
あてはめ
本件では、配当期日である昭和30年12月13日より前の同年11月2日に、主債務の弁済期がすでに到来している。民法460条2号の文言上、主債務が弁済期にあること以外の要件は付されておらず、求償権が根抵当権によって担保されているという事情は、同条の適用を妨げる特段の事情には当たらない。したがって、法定の要件を充足している以上、被上告人による事前求償権の行使(配当要求)は正当な権利行使といえる。
結論
主債務の弁済期が到来している以上、求償権が根抵当権で担保されていても民法460条2号が適用され、被上告人の配当要求は適法である。
実務上の射程
事前求償権の発生要件に関する判例であり、民法460条2号が「主債務が弁済期にある」という形式的事実により画一的に適用されることを示した。答案上は、保証人が事前求償権を行使する場面で、担保の有無に関わらず条文の文言通りに要件を検討すれば足りる根拠として活用できる。
事件番号: 昭和26(オ)560 / 裁判年月日: 昭和28年11月12日 / 結論: 棄却
一 一抵当権設定契約とともになされた停止条件付代物弁済契約は、特段の事由のないかぎり、代物弁済の予約と解すべきものである。 二 右の場合において、抵当権を実行するか、代物弁済の予約を完結させるかは、債権者の選択に委される。
事件番号: 昭和32(オ)834 / 裁判年月日: 昭和35年11月17日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】公正証書に記載された債務額が、その後の合意等により減額された場合であっても、当該公正証書は減額された範囲内において実体的真実に合致し、執行力を保有し続ける。 第1 事案の概要:債務者である上告人らは、講の管理人である被上告人との間で、掛戻金76万8000円について公正証書を作成した。その後、諸般の…