判旨
上告理由を記載していない上告状を提出した上告人が、訴訟記録受領の通知を受けた日から30日以内に上告理由書を提出しなかった場合、当該上告は不適法として判決で却下される。
問題の所在(論点)
上告状に上告理由の記載がなく、かつ法定の期間内に上告理由書が提出されなかった場合の上告の適法性、および期間経過後の提出による治癒の可否。
規範
上告状に上告理由の記載がない場合、上告人は訴訟記録受領の通知を受けた日から法定の期間(民事訴訟法315条、民事訴訟規則189条等。本判決当時は30日)以内に上告理由書を提出しなければならない。この期間内に提出がないときは、裁判所は判決で上告を却下する。
重要事実
上告人は本件上告状に上告理由を記載していなかった。上告人は、昭和26年3月3日に裁判所書記官から訴訟記録受領の通知を受けた。しかし、上告人は当該通知を受けた日から30日以内に上告理由書を提出せず、期間経過後の同年4月3日になって初めて上告理由書と題する書面を提出した。
あてはめ
上告人は3月3日に通知を受けており、30日の提出期限を守る必要があった。しかし、期限内に書面を提出しておらず、期限経過後の4月3日の提出は有効な追完とは認められない。したがって、適法な上告理由の提示がないまま提出期限を徒過したといえる。
結論
本件上告は不適法であり、判決をもって却下する。
実務上の射程
上告審の不適法却下事由(上告理由書の提出遅滞)に関する定型的な処理を示す。実務上、上告理由書の提出期限は不変期間ではないが、正当な理由のない遅滞は致命的な欠陥となる。答案上は、上告の手続的要件を確認する際の基礎知識として位置づけられる。
事件番号: 昭和31(オ)26 / 裁判年月日: 昭和33年6月20日 / 結論: 棄却
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事件番号: 昭和25(オ)333 / 裁判年月日: 昭和26年2月22日 / 結論: 却下
【結論(判旨の要点)】上告人が上告理由書を提出すべき法定期間内にこれを提出しないときは、上告裁判所は判決をもって上告を却下しなければならない。 第1 事案の概要:上告人は、昭和25年10月11日に最高裁判所書記官から訴訟記録受領の通知を受けた。しかし、上告状には上告理由の記載がなく、かつ、当該通知を受けた日から30日以…