判旨
最高裁判所が抗告に関して裁判権を有するのは、訴訟法において特に許容された場合に限定され、民事事件においては憲法違反の判断を不当とする特別抗告のみがこれに該当する。
問題の所在(論点)
民事事件において最高裁判所に対して抗告を申し立てることができる範囲、およびその適法な抗告理由の内容が問題となる(旧民事訴訟法419条の2、現行法336条1項参照)。
規範
最高裁判所に対する抗告は、訴訟法において特に最高裁判所に抗告を申し立てることが許された場合に限られる。民事事件については、原決定に憲法違反の判断があることを理由とする抗告(特別抗告)のみがこれに当たり、通常の抗告に関する規定は適用されない。
重要事実
抗告人が、最高裁判所に対して抗告を申し立てた。しかし、当該抗告の理由において、原決定における法律、命令、規則又は処分が憲法に適合するかしないかについての判断を不当とする主張(憲法違反の主張)が含まれていなかった。
あてはめ
最高裁判所が抗告の裁判権をもつのは法律が特に認めた特別抗告の場合に限られるところ、本件抗告の理由は憲法違反を主張するものではない。したがって、法が認める適法な抗告理由を備えておらず、最高裁判所の裁判権の範囲外であると評価される。
結論
本件抗告は不適法であり、却下されるべきである。
実務上の射程
最高裁判所に対する抗告(特別抗告)の適格を画する判例である。答案上は、特別抗告の要件である憲法違反の主張の有無が抗告の適法性を左右することを論じる際に引用する。
事件番号: 昭和25(ク)68 / 裁判年月日: 昭和25年7月21日 / 結論: 却下
【結論(判旨の要点)】最高裁判所が民事事件の抗告裁判権を有するのは、法律により特に許された場合に限られ、その抗告理由は原決定における憲法判断の不当性に限定される。 第1 事案の概要:抗告人が、最高裁判所に対し民事事件の抗告を申し立てた事案。抗告人は、旧民訴法413条が準用されることを前提とした抗告理由を主張していたが、…
事件番号: 昭和26(ク)3 / 裁判年月日: 昭和26年5月15日 / 結論: 却下
【結論(判旨の要点)】最高裁判所が抗告に関して裁判権を有するのは、民事事件においては旧民訴法419条の2に定める特別抗告(憲法問題が含まれるもの)に限定され、一般の抗告規定の準用は認められない。 第1 事案の概要:抗告人等が、下級審の決定に対して最高裁判所へ抗告を申し立てた事案。記録上、本件の抗告理由は原決定における憲…
事件番号: 昭和25(ク)107 / 裁判年月日: 昭和27年2月28日 / 結論: 却下
現行法上決定に対する異議の認められるのは、最高裁判所が特別抗告についてした決定または再抗告裁判所の決定に対する場合だけであり、高等裁判所が第一審または最初の抗告審としてした決定に対しては、異議の申立は許されない。
事件番号: 昭和25(ク)63 / 裁判年月日: 昭和25年9月5日 / 結論: 却下
【結論(判旨の要点)】最高裁判所が民事事件の抗告について裁判権を有するのは、特別の定めがある場合に限られ、その抗告理由は原決定における憲法判断の不当性に限定される。 第1 事案の概要:抗告人は、原決定に対して最高裁判所へ抗告を申し立てた。しかし、その抗告理由において、原決定における憲法判断の不当性については主張されてい…
事件番号: 昭和27(ク)55 / 裁判年月日: 昭和32年3月4日 / 結論: 却下
【結論(判旨の要点)】最高裁判所が抗告を受理できるのは訴訟法で特に許された場合に限られ、実質的に法令違反を主張するに過ぎないものは、違憲を名目とするものであっても特別抗告として不適法である。 第1 事案の概要:抗告人は、原裁判所が抗告人を審尋する等の手続を経ることなく裁判を行ったことに対し、最高裁判所に抗告を申し立てた…