判旨
最高裁判所への特別抗告は、原決定において憲法解釈の誤りがある場合に限り許されるものであり、単なる事実誤認や訴訟手続の違法を憲法違反と主張するものは不適法である。
問題の所在(論点)
高等裁判所の決定に対する最高裁判所への抗告において、単なる訴訟手続の違法や事実誤認を憲法違反と主張して申し立てることが、適法な抗告理由として認められるか。
規範
最高裁判所に対し抗告を申し立てるには、法に特段の定めがある場合(民事訴訟法336条1項等)に限られる。この場合、原決定において憲法適合性の判断の不当があることを理由とするときに限り、抗告が許容される。単なる訴訟法上の措置の不当や事実認定の非難は、適法な抗告理由には当たらない。
重要事実
抗告人は、東京高等裁判所がなした判事忌避申立事件の決定に対し、最高裁判所へ抗告を申し立てた。抗告の理由は、第一審裁判所が職権をもって口頭弁論期日を続行したこと、または疎明のない事実に基づいて原決定がなされたことを非難するものであった。
あてはめ
本件抗告理由は、第一審裁判所の口頭弁論期日続行という訴訟法上の措置や、証拠(疎明)に基づかない事実認定を攻撃するものである。これは実質的には単なる訴訟法上の不服申し立てであり、原決定が憲法解釈を誤ったことを具体的に示すものではない。したがって、憲法違反の名を借りてはいるものの、実質的には特別抗告の要件を満たさない非難にすぎないと解される。
結論
本件抗告は、適法な抗告理由を欠くため、不適法として却下される。
実務上の射程
特別抗告の要件(憲法違反・憲法解釈の誤り)を厳格に解する実務を示す。単なる手続違法や事実誤認を「適正な裁判を受ける権利(憲法32条)違反」等と形式的に主張しても、特別抗告事由には当たらないことを答案上で指摘する際に有用である。
事件番号: 昭和25(ク)42 / 裁判年月日: 昭和25年6月12日 / 結論: 却下
【結論(判旨の要点)】最高裁判所が民事事件の抗告について裁判権を有するのは、法律、命令、規則又は処分が憲法に適合するかしないかの判断を不当とする場合に限定される。 第1 事案の概要:抗告人等が、最高裁判所に対して抗告を申し立てた事案。抗告人が主張した抗告理由は、原決定における憲法判断の不当性を指摘するものではなかった。…
事件番号: 昭和25(ク)134 / 裁判年月日: 昭和26年10月27日 / 結論: 却下
【結論(判旨の要点)】最高裁判所に対する抗告は、法律により特に許された場合に限り認められ、民事事件においては憲法違反の判断を不当とする場合に限定される。実質的な憲法違反の主張を伴わない抗告は、不適法として却下される。 第1 事案の概要:抗告人は、最高裁判所に対し、原決定を不服として抗告を申し立てた。抗告理由は、書面上は…
事件番号: 昭和25(ク)106 / 裁判年月日: 昭和25年9月26日 / 結論: 却下
【結論(判旨の要点)】最高裁判所が抗告に関して裁判権を有するのは、訴訟法上特に許された場合に限られ、民事事件においては憲法違反の判断の不当を理由とする特別抗告のみが認められる。 第1 事案の概要:抗告人が最高裁判所に対して抗告を申し立てた事案であるが、その抗告理由が、原決定における憲法適合性の判断の不当を指摘するもので…
事件番号: 昭和25(ク)131 / 裁判年月日: 昭和26年10月29日 / 結論: 却下
【結論(判旨の要点)】最高裁判所が民事事件の抗告について裁判権を有するのは、原決定における憲法判断の不当を理由とする特別抗告(旧民訴法419条の2)に限られる。単なる訴訟法規の解釈適用の違法を主張するものは、実質的に憲法違反の主張にあたらず、不適法として却下される。 第1 事案の概要:抗告人は、原決定に対して最高裁判所…
事件番号: 昭和25(ク)45 / 裁判年月日: 昭和25年6月27日 / 結論: 却下
【結論(判旨の要点)】最高裁判所が下した決定に対しては、民事訴訟法上の規定の有無にかかわらず、さらに抗告を申し立てることは許されない。 第1 事案の概要:抗告人は、最高裁判所が下した決定に対し、旧民事訴訟法419条の2(現在の特別抗告等に相当する規定)を根拠として、さらに抗告を申し立てた。 第2 問題の所在(論点):最…