判旨
行政処分の効力発生時期につき、処分を記載した書面の到達が必要であるとし、証拠に基づく到達事実の認定に違法はないとした。
問題の所在(論点)
行政処分(買収処分)の効力発生の前提となる「書面の到達」の事実認定において、裁判所の自由心証(証拠の取捨判断)に違法があるか否か。
規範
行政処分は、その内容を記載した書面(本件では買収令書)が相手方に到達した時点をもって、その効力を生ずるものと解される。
重要事実
本件農地に対する買収処分がなされた際、買収令書が上告人に対して送達された。原審は、証拠に基づき、当該買収令書が3月5日に上告人に到達したと認定した。これに対し上告人が、原審の証拠の取捨判断には裁量の限度を超えた違法があると主張して上告した事案である。
あてはめ
原判決において挙げられた各証拠を照らし合わせれば、本件買収令書が3月5日に上告人に到達したと認定した判断は相当である。上告人が主張する証拠取捨の裁量逸脱については、特段の事情は認められず、原審の認定を覆すに足りる違法は認められない。
結論
本件買収令書は3月5日に上告人に到達したものと認められ、原判決の判断に違法はないため、上告を棄却する。
実務上の射程
行政処分の効力発生時期が「到達時」であることを前提とし、その具体的な到達日の認定は事実認定の問題として裁判所の合理的な裁量に委ねられることを示した。答案上は、処分の告知・送達が有効になされたかを論ずる際の補助的な考慮要素となる。
事件番号: 昭和25(オ)18 / 裁判年月日: 昭和27年4月25日 / 結論: 棄却
訴願裁決書の謄本が郵便により配達された以上、特段の事情のないかぎり、右謄本の配達を受けた日に右裁決のあつたことを知つたものと認めるべく、行政処分および訴願裁決の取消または変更を求める訴の出訴期間は、その日から起算すべきである。
事件番号: 昭和25(オ)235 / 裁判年月日: 昭和26年11月30日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】行政処分の取消訴訟において出訴期間が経過している場合、訴えは不適法として却下されるべきであり、裁判所は処分の当否について実体判断を行うことはできない。 第1 事案の概要:原告(上告人)らは、被告が行った買収処分の当否を争って本訴を提起した。しかし、第一審は本訴が出訴期間を守っていない不適法なもので…
事件番号: 昭和25(オ)220 / 裁判年月日: 昭和27年1月25日 / 結論: 棄却
自作農創設特別措置法附則第二項によつて買収計画が定められ、その後右附則第二項が削除され、同法第六条の二ないし五が加えられた場合において、裁判所が買収計画の当否を判断するについては、附則第二項によらなければならない。
事件番号: 昭和25(オ)287 / 裁判年月日: 昭和26年10月30日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】行政処分に対する取消訴訟において、出訴期間の規定は公法上の法律関係を早期に確定させるための強行規定であり、処分の実体的な違法性の有無や行政庁による訴訟提起の要請にかかわらず適用される。 第1 事案の概要:上告人は、自作農創設特別措置法に基づく農地買収処分について、病者が不在地主にならない保障に反す…
事件番号: 昭和30(オ)670 / 裁判年月日: 昭和32年2月26日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】事実認定における証拠の取捨選択は裁判所の自由裁量に委ねられており、引用された証拠から認定事実が導き出せる限り、採証法則違反の違法は認められない。 第1 事案の概要:農地遡及買収の基準日(昭和20年11月23日)時点における本件農地の所有者が誰であったかが争点となった事案である。原審は、証拠に基づき…