判旨
農地売渡計画の公告は、売渡計画書の縦覧期間を定めた旨の記載があれば足り、売渡の相手方や対価等の詳細を記載する必要はなく、不服申立てを経ずに訴訟を提起できる「正当な事由」も認められない。
問題の所在(論点)
農地売渡計画の公告において売渡の相手方や対価等の記載が必要か。また、公告の不備等を理由に訴願前置の例外である「正当な事由」が認められるか。
規範
自作農法18条4項に基づく公告は、売渡計画を定めた旨の公示があれば足り、売渡農地の詳細、相手方、時期、対価等の具体的記載までを要しない。また、行政事件訴訟特例法2条但書にいう「正当な事由」は、単なる手続上の不知や事実誤認等の主観的事由では認められない。
重要事実
上告人らは、B地区農地委員会が行った農地売渡計画の公告について、売渡の相手方や対価等の重要事項が記載されておらず、かつ「第8回」といった計画回数の表示も欠けているとして違法を主張した。また、これらの不備により内容を了知できなかったとして、当時の行政事件訴訟における訴願(不服申立て)前置手続を経ずに訴えを提起したことの適法性が争われた。
あてはめ
公告に「計画書の縦覧期間を定めた旨」の記載があれば、関係者は別個の計画が定められたことを知り、縦覧の機会を得ることができる。したがって、計画回数の表示や相手方等の詳細記載がなくても、関係者の権利保護に欠けることはなく、公告として有効である。さらに、上告人が主張する公告の不備等の事情は、客観的に訴願を経ることが著しく困難な場合とはいえず、訴願前置の例外を認めるべき「正当な事由」には当たらないと評価される。
結論
本件公告は有効であり、かつ不服申立てを経ずに提訴すべき正当な事由も認められないため、訴えを不適法として却下した原審の判断は正当である。
事件番号: 昭和25(オ)385 / 裁判年月日: 昭和26年7月24日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】上告理由が「最高裁判所における民事上告事件の審判の特例に関する法律」所定の事由に該当せず、かつ法令の解釈に関する重要な主張を含まない場合、上告は棄却される。 第1 事案の概要:上告人が、原審の判決を不服として最高裁判所に上告を提起した事案。判決文からは具体的な事件の内容(原告・被告の主張や係争物等…
実務上の射程
行政処分の公告の程度に関する判断基準を示す。処分の詳細を公告そのものに記載せずとも、縦覧等の方法により内容を確認できる機会が確保されていれば適法とされる。また、不服申立て前置の例外(正当な事由)の厳格な解釈を維持するものである。
事件番号: 昭和25(オ)341 / 裁判年月日: 昭和27年4月18日 / 結論: 破棄差戻
行政事件訴訟特例法施行の日に農地買収計画に対する異議申立期間が満了し、当時の交通事情等により訴訟関係人らが同法の内容を知り得なかつた事情があるならば、同法施行後にかいても、右買収計画の取消を求める訴を提起するについて異議、訴願を経ない正当な事由があるものというべきである。
事件番号: 昭和25(オ)113 / 裁判年月日: 昭和26年8月1日 / 結論: 棄却
一 自作農創設特別措置法第六条第五項の公告には、単に買収計画を定めた旨の記載があれば足り、買収すべき農地、買収時期、対価の記載がなければならないものではない。 二 地区農地委員会の設けられている場合には、自作農創設特別措置法第六条第五項の公告は、地区農地委員会の事務所の掲示場に掲示して行うべきである。 三 農地買収計画…
事件番号: 昭和26(オ)939 / 裁判年月日: 昭和28年7月31日 / 結論: 破棄差戻
【結論(判旨の要点)】農地売渡計画の公告において、売渡すべき土地の正確な表示などの具体的記載は不要であり、計画を定めた旨の記載があれば足りる。 第1 事案の概要:自作農創設特別措置法に基づく農地売渡計画が樹立された事案において、原審は、当該計画の公示文書に「売渡すべき土地の正確な表示」がなかったことを理由に、適式な公告…
事件番号: 昭和26(オ)9 / 裁判年月日: 昭和26年12月18日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】最高裁判所における民事上告事件の審判の特例に関する法律に基づき、上告理由が法令の解釈に関する重要な主張を含まず、かつ同法の規定する事由に該当しない場合は、上告を棄却すべきである。 第1 事案の概要:上告人が提起した上告理由において、民事上告事件の審判の特例に関する法律1号乃至3号に該当する事由、お…