判旨
請求の当否を判断する基準時は事実審の口頭弁論終結時であり、借家法上の解約申入れから6か月経過の要件も同時点を基準に判断される。
問題の所在(論点)
建物賃貸借における解約申入れの効力(期間の経過)は、どの時点を基準に判断すべきか。また、団体(D院)の用に供するための契約であっても、個人名義で契約した場合の賃借人は誰か。
規範
訴えをもって主張する原告の請求が理由あるか否かは、原則として事実審の口頭弁論終結当時を標準として判断すべきである。建物賃貸借の解約申入れ(旧借家法3条)についても、当該口頭弁論終結時までに所定の期間を経過していれば、その請求は認められる。
重要事実
別府市(賃貸人)は、転借人である上告人に対し、昭和23年6月頃に本件家屋の明渡しを求める解約の申入れを行った。その後、本件訴訟の原審における口頭弁論終結日は昭和25年3月1日であった。上告人は、解約申入れの効力や当事者の適格を争って上告した。
あてはめ
本件では、昭和23年6月の解約申入れから原審の口頭弁論終結時(昭和25年3月1日)までに、既に6か月以上の期間が経過していることが明らかである。したがって、旧借家法3条の要件は満たされている。また、被告(被上告人)がD院の用に当てるためであっても、自身の名において賃借した以上、法律上の賃借人は被上告人本人であると認められる。
結論
解約申入れから口頭弁論終結時までに法定期間が経過しているため、明渡請求は正当である。また、賃借人は被上告人本人であり、当事者適格の欠缺はない。
実務上の射程
民事訴訟における標準時の原則を再確認するものであり、賃貸借の解約申入れ期間のような時間経過を要件とする実体法上の抗弁についても、口頭弁論終結時までに要件を具備すれば足りるという実務上の取扱いを基礎付ける。
事件番号: 昭和25(オ)299 / 裁判年月日: 昭和28年9月11日 / 結論: 破棄差戻
【結論(判旨の要点)】借地借家法における解約申入れの正当事由の有無は、原則として解約申入当時の事情に基づき判断すべきであり、申入後の事情は、解約申入当時から当然予見されるなどの特段の事情がない限り参酌できない。 第1 事案の概要:上告人(賃貸人)は、被上告人(賃借人)に対し、昭和23年11月4日に到達した書面をもって賃…