判旨
行政処分の執行停止の要件該当性の判断は、法律の解釈適用の問題にすぎず、当然には憲法違反の問題を生じない。
問題の所在(論点)
行政処分の執行停止要件(償うことのできない損害を避けるための緊急の必要、または公共の福祉への重大な影響)の存否に関する判断が、直ちに憲法違反の問題となるか。
規範
特別抗告が認められるためには、原決定に憲法違反の判断が含まれていることを要する。法律の解釈適用の適否を争うにすぎない事由は、実質において違憲の主張に該当しない。
重要事実
抗告人は、原審による行政処分の執行停止決定に対し、地方公共団体の権能を剥奪し公共の福祉を無視するものであるとして、憲法94条違反を理由に特別抗告を申し立てた。
あてはめ
裁判所が法律に従い行政処分の執行を停止することは適法な権限行使である。本件の主張は、結局のところ旧行政事件訴訟特例法10条2項の要件充足性の判断を争うものであり、法律の解釈適否の問題に帰着する。したがって、憲法違反を名目に掲げているものの、その実体は単なる法律適用の不当を訴えるものにすぎない。
結論
本件特別抗告は実質的な違憲の主張を含まない不適法なものとして、却下されるべきである。
実務上の射程
行政事件における執行停止要件の認定など、下位法規の要件該当性の判断を争う場合に、単に憲法の条文を引用して違憲を主張しても、憲法問題にはならないとする門前払いの論理として機能する。
事件番号: 昭和26(ク)25 / 裁判年月日: 昭和26年9月5日 / 結論: 却下
【結論(判旨の要点)】最高裁判所への抗告は、原決定に憲法違反の判断が含まれる場合に限られ、単なる訴訟法違反等の主張を憲法違反に名を藉りて主張するものは不適法である。 第1 事案の概要:抗告人は、岡山県議会の議員が分町に関する議決を行う際、金品の供与を受ける等の不正行為があったと主張した。その上で、かかる不正に基づく議決…
事件番号: 昭和32(ク)221 / 裁判年月日: 昭和33年2月7日 / 結論: 却下
【結論(判旨の要点)】最高裁判所が抗告に関して裁判権を有するのは、訴訟法において特に認められた場合に限定される。憲法違反を主張していても、その実質が法令の解釈適用の誤りを争うものである場合は、適法な抗告として認められない。 第1 事案の概要:抗告人は、原決定に対して憲法違反を主張して最高裁判所に抗告を申し立てた。原決定…
事件番号: 昭和25(ク)57 / 裁判年月日: 昭和25年7月21日 / 結論: 却下
【結論(判旨の要点)】最高裁判所が民事事件の抗告について裁判権を有するのは、原決定に憲法違反の判断が含まれる場合に限られ、通常の再抗告規定は適用されない。 第1 事案の概要:抗告人等が、下級審の決定に対して最高裁判所へ抗告を申し立てた事案。抗告状の記載によれば、その抗告理由は原決定における憲法適合性の判断を不当とするも…
事件番号: 昭和25(ク)12 / 裁判年月日: 昭和27年10月15日 / 結論: その他
一 行政事件訴訟特例法第一〇条第二項本文が、行政処分の執行停止について一定の制限を設けているからといつて、同条項は、憲法によつて裁判所に与えられた行政事件審判権を侵犯する違憲の法律とはいえない。 二 民訴第四一九条の二第二項が憲法に違反するとの主張は、適法な同条の抗告理由でない。
事件番号: 昭和23(ク)39 / 裁判年月日: 昭和24年2月8日 / 結論: 却下
【結論(判旨の要点)】最高裁判所への抗告は、訴訟法が特に定めた場合を除いてはすることができず、特別抗告の要件を満たさない限り不適法として却下される。 第1 事案の概要:抗告人は、原決定に対して最高裁判所に抗告を申し立てた。しかし、抗告申立書および記録を確認したところ、本件は原決定における憲法判断の不当を理由とするもので…