判旨
最高裁判所が抗告に関して裁判権を有するのは、訴訟法において特に認められた場合に限定される。憲法違反を主張していても、その実質が法令の解釈適用の誤りを争うものである場合は、適法な抗告として認められない。
問題の所在(論点)
最高裁判所に対する抗告が適法とされるための要件。特に、憲法違反を主張しつつも、実質的に法令の誤りを争う抗告が、裁判権を有する適法な抗告に該当するか否か。
規範
最高裁判所が抗告について裁判権を有するのは、民事訴訟法(現行民訴法336条等)により、特に最高裁判所への抗告が許容されている場合に限られる。憲法違反を理由とする特別抗告等の形式を採っていても、不服申立ての「実質」が単なる法令の解釈適用の不当を主張するものである場合には、適法な抗告とは認められない。
重要事実
抗告人は、原決定に対して憲法違反を主張して最高裁判所に抗告を申し立てた。原決定の内容は、地方自治法及び行政事件訴訟特例法に基づき、原停止決定(執行停止等)を行ったものであった。抗告人は、この原決定における法令の解釈適用に誤りがあり不当であるとして争った。
あてはめ
本件抗告は、形式的には原決定の違憲を主張している。しかし、その主張の具体的内容を検討すると、地方自治法および行政事件訴訟特例法の解釈適用に誤りがあることを理由に、原決定による執行停止の妥当性を攻撃するものに帰着する。これは実質において単なる法令違反の主張であり、最高裁判所が裁判権を有する法定の抗告理由には当たらないと解される。
結論
本件抗告は適法な抗告理由を備えておらず、最高裁判所は裁判権を有しないため、不適法として却下される。
実務上の射程
事件番号: 昭和33(ク)6 / 裁判年月日: 昭和33年5月6日 / 結論: 却下
【結論(判旨の要点)】最高裁判所が抗告に関して裁判権を有するのは、訴訟法上特に許された場合に限られ、民事事件においては憲法違反を実質的な理由とする特別抗告(旧民訴法419条の2)のみがこれに該当する。 第1 事案の概要:抗告人は、原決定(執行停止の決定)に対して、その決定が憲法に違反する旨を主張して最高裁判所に抗告を申…
特別抗告(民訴法336条1項)等の場面において、形式的な違憲主張があっても、実質が単なる法令違反・不当主張であれば門前払い(却下)となることを示す。上告受理申立て等と異なり、抗告権の範囲が厳格に限定されている点に実務上の意義がある。
事件番号: 昭和24(ク)10 / 裁判年月日: 昭和24年3月2日 / 結論: 却下
【結論(判旨の要点)】最高裁判所に対する抗告は、訴訟法が特に最高裁判所の権限に属するものと定めた場合を除いてはすることができず、憲法判断の不当を理由としないものは不適法である。 第1 事案の概要:抗告人が、最高裁判所に対し抗告を申し立てた事案。抗告申立書の内容を精査したところ、原決定における憲法上の判断が不当であること…
事件番号: 昭和23(ク)40 / 裁判年月日: 昭和24年2月8日 / 結論: 却下
【結論(判旨の要点)】最高裁判所に対する抗告は、訴訟法が特に定めた場合を除き、憲法判断の不当を理由とする場合に限って許容される。 第1 事案の概要:抗告人が最高裁判所に対して抗告を申し立てた事案。抗告申立書の内容からは、原決定における憲法判断の不当を理由とする特別抗告の要件を満たしていることが認められず、他に最高裁判所…
事件番号: 昭和25(ク)57 / 裁判年月日: 昭和25年7月21日 / 結論: 却下
【結論(判旨の要点)】最高裁判所が民事事件の抗告について裁判権を有するのは、原決定に憲法違反の判断が含まれる場合に限られ、通常の再抗告規定は適用されない。 第1 事案の概要:抗告人等が、下級審の決定に対して最高裁判所へ抗告を申し立てた事案。抗告状の記載によれば、その抗告理由は原決定における憲法適合性の判断を不当とするも…
事件番号: 昭和34(ク)34 / 裁判年月日: 昭和34年3月2日 / 結論: 却下
【結論(判旨の要点)】最高裁判所が抗告に関して裁判権を有するのは、訴訟法において特に許容された場合に限定される。民事事件においては、特別抗告(旧民事訴訟法419条の2、現行336条)の事由がある場合に限り、最高裁判所への抗告が適法となる。 第1 事案の概要:抗告人が原決定(詳細は判決文からは不明)に不服を申し立て、最高…