判旨
勾留手続に違法があっても、それが判決に影響を及ぼさない場合には、当該判決に基づく刑の執行は正当な理由に基づく拘禁にあたり、人身保護法2条に基づく救済の対象とはならない。
問題の所在(論点)
判決前の勾留手続の違法が、その後の有罪判決の効力および人身保護法2条1項にいう「法律上正当な手続によらない拘束」の成否に及ぼす影響。
規範
判決前の勾留手続に違法があったとしても、その違法が判決に影響を及ぼさないことが明白な場合には、判決自体が憲法に違反して無効となるものではない。したがって、確定判決に基づく刑の執行を受けている者は、人身保護法2条1項に規定する「法律上正当な手続によらないで身体の自由を拘束されている者」には該当しない。
重要事実
特別抗告人(被拘束者)は、適法な勾留状によらない不法な拘禁状態で公判審理が行われ、有罪判決を宣告された。この判決は被告人の身体を拘束してはならないという刑事訴訟法上の原則を超え、憲法31条、33条に違反する無効なものであると主張。無効な判決に基づく刑の執行は人身保護法2条の救済対象であるとして、釈放を求めて特別抗告を申し立てた。
あてはめ
仮に被拘束者の勾留手続に違法があったとしても、それが第二審判決に影響を及ぼさないことが明白であれば、上告理由にはならず、判決を是認した上告判決も憲法に違反しない。本件において、判決が憲法違反で無効とはいえない以上、当該判決に基づく拘禁は正当な理由があるものとして確定している。よって、人身保護法の救済要件を満たす余地はない。
結論
本件請求を棄却した原審の判断は正当であり、特別抗告を棄却する。
実務上の射程
事件番号: 昭和23(ク)30 / 裁判年月日: 昭和23年10月29日 / 結論: 却下
一 人身保護法による釈放の請求を排斥した決定に対しては、憲法違反を理由とするときに限り、最高裁判所に抗告の申立をすることができる。 二 昭和二三年政令第二〇一号違反の容疑により勾留された者が人身保護法により釈放を請求したのに対し、原決定が人身保護規則第四条に該当しないとの理由でこれを排斥した場合、右政令が憲法違反である…
判決前の手続的違法を理由とする人身保護請求の限界を示した判例である。確定判決が存在する場合、人身保護手続でその効力を争うには、判決自体が重大かつ明白に憲法違反・無効であることを要するという実務上の枠組みを前提としている。
事件番号: 昭和47(ク)116 / 裁判年月日: 昭和47年6月22日 / 結論: 却下
人身保護法による釈放の請求を排斥した決定に対しては、憲法違反を理由とするときにかぎり、最高裁判所に抗告の申立をすることができる。
事件番号: 昭和24(ク)2 / 裁判年月日: 昭和24年2月7日 / 結論: 却下
【結論(判旨の要点)】最高裁判所に対する抗告は、訴訟法において特に最高裁判所に申し立てることが許された場合に限り認められ、それに該当しない抗告は不適法である。 第1 事案の概要:抗告人は、長崎地方裁判所が人身保護請求事件について下した決定に対し、不服を申し立てる趣旨の書面(上告状と題する書面)を最高裁判所に提出した。裁…
事件番号: 昭和25(ク)124 / 裁判年月日: 昭和25年12月2日 / 結論: 却下
【結論(判旨の要点)】人身保護法上の救済請求に関する最高裁判所への抗告は、人身保護規則46条により民事訴訟の例に従う。最高裁への抗告は憲法判断の不当を理由とする場合に限られ、単なる原決定の事実誤認や手続違憲以外の法令違反を主張するものは不適法として却下される。 第1 事案の概要:抗告人は、人身保護法に基づき勾留の解除を…
事件番号: 昭和45(ク)441 / 裁判年月日: 昭和46年1月25日 / 結論: 棄却
憲法は外国人の本邦への入国についてなんら規定しておらず、外国人の入国の許否は当該国家の自由裁量によつて決定しうるものとされている国際慣習法に従うことが憲法の理念に反するものではないから(最高裁昭和三二年六月一九日大法廷判決・刑集一一巻六号一六六三頁参照)、上陸許可の証印を受けていない外国人が、上陸審査手続のための待機場…