判旨
人身保護法上の請求において、法および規則が定める疎明資料の提出義務等は合憲であり、裁判所が職権で資料を獲得すべきとの主張は採用されない。
問題の所在(論点)
人身保護法および同規則が定める、請求者による疎明資料の提供義務およびこれに違反した場合の却下規定は、憲法に違反し無効といえるか。裁判所は職権で資料を収集すべき義務を負うか。
規範
人身保護法3条但書、5条、規則6条、7条の規定により、人身保護の請求者には特別の事情の疎明および疎明資料・疎明方法の提供義務が課されている。これらの規定に従い、疎明を欠く場合には、法7条および規則8条に基づき請求を却下すべきである。
重要事実
抗告人は、人身保護法および規則が定める疎明資料等の提出義務は、請求の道を閉ざし実益を失わせるものであると主張した。そのため、裁判所は法1条の目的に照らし、これらの規定に拘束されず、すべて職権をもって資料を獲得すべきであるとして抗告を申し立てた。
あてはめ
人身保護法および規則の諸規定は、不当に拘禁された者の救済という目的と、濫訴の防止や審理の迅速化のバランスを図るものである。抗告人が主張する「職権による資料獲得」は、現行法上の疎明義務規定を否定するものであり、法1条の理念を考慮しても、法が定める手続的要件自体が憲法に違反するとは認められない。したがって、法定の疎明を欠く場合には、職権調査を待たず却下されるべきである。
結論
本件抗告は憲法違反の主張を含まず、民事訴訟法上の抗告要件を欠くため、不適法として却下される。
実務上の射程
人身保護法の手続において、請求者側の疎明責任(疎明資料の提出義務)を肯定した初期の判例である。裁判所の職権探知主義の限界を示しており、答案上は人身保護請求の要件具備を論じる際の前提として活用できる。
事件番号: 昭和24(ク)2 / 裁判年月日: 昭和24年2月7日 / 結論: 却下
【結論(判旨の要点)】最高裁判所に対する抗告は、訴訟法において特に最高裁判所に申し立てることが許された場合に限り認められ、それに該当しない抗告は不適法である。 第1 事案の概要:抗告人は、長崎地方裁判所が人身保護請求事件について下した決定に対し、不服を申し立てる趣旨の書面(上告状と題する書面)を最高裁判所に提出した。裁…
事件番号: 昭和28(ク)119 / 裁判年月日: 昭和28年9月17日 / 結論: 却下
【結論(判旨の要点)】最高裁判所に対する抗告が適法となるのは、憲法違反または憲法解釈の誤りを不服理由とする場合に限られる。人身保護法に基づく事件であっても、単なる手続上の不備や事実関係の是正を求める抗告は、不適法として却下される。 第1 事案の概要:抗告人は、松江刑務所における拘束の是正を求めて人身保護法に基づく請求を…
事件番号: 昭和25(ク)124 / 裁判年月日: 昭和25年12月2日 / 結論: 却下
【結論(判旨の要点)】人身保護法上の救済請求に関する最高裁判所への抗告は、人身保護規則46条により民事訴訟の例に従う。最高裁への抗告は憲法判断の不当を理由とする場合に限られ、単なる原決定の事実誤認や手続違憲以外の法令違反を主張するものは不適法として却下される。 第1 事案の概要:抗告人は、人身保護法に基づき勾留の解除を…
事件番号: 昭和47(ク)116 / 裁判年月日: 昭和47年6月22日 / 結論: 却下
人身保護法による釈放の請求を排斥した決定に対しては、憲法違反を理由とするときにかぎり、最高裁判所に抗告の申立をすることができる。
事件番号: 昭和23(ク)30 / 裁判年月日: 昭和23年10月29日 / 結論: 却下
一 人身保護法による釈放の請求を排斥した決定に対しては、憲法違反を理由とするときに限り、最高裁判所に抗告の申立をすることができる。 二 昭和二三年政令第二〇一号違反の容疑により勾留された者が人身保護法により釈放を請求したのに対し、原決定が人身保護規則第四条に該当しないとの理由でこれを排斥した場合、右政令が憲法違反である…