判旨
民事訴訟法における5日の抗告提起期間の定めは、憲法上の問題の検討を含め、期間内に行うことが不可能とは言えないため、憲法に違反しない。
問題の所在(論点)
旧民事訴訟法419条の2第2項が定める「5日」という抗告提起期間の制限が、正当な手続を保障する憲法の趣旨に照らして合憲といえるか。
規範
訴訟手続上の期間制限については、その期間内に当該手続を行うことが物理的・実務的に「不可能」であると認められない限り、国民に不当な負担を強いるものとして憲法違反(正当な裁判を受ける権利の侵害等)には当たらない。
重要事実
抗告人は、昭和24年2月28日に原裁判所の決定を受領したが、抗告状を提出したのは同年3月13日であった。当時の民事訴訟法419条の2第2項は、抗告提起期間を5日と定めていた。抗告人は、この5日という短期間の制限は国民に不能を強いるものであり憲法に違反すると主張して、期間経過後の抗告の適法性を争った。
あてはめ
決定事件において、当該決定が憲法に適合するか否かといった法的問題を検討し、不服申し立ての準備を整える作業は、5日の期間内であっても遂行することが「不可能とは言えない」。したがって、本件における5日の期間制限は、裁判を受ける機会を実質的に奪うような過度な制約には該当せず、国民に不能を強いるものとは認められない。
結論
本件抗告は法定の提起期間を経過した後にされた不適法なものであり、提起期間を5日とする規定は憲法に違反しないため、抗告は却下される。
実務上の射程
訴訟法上の不変期間(現在は5日から1週間〜2週間へ改正されているものが多い)の合憲性判断に関する初期の判例である。立法府による訴訟手続の合理的裁量を広く認める立場を示しており、期間制限が極端に短く権利行使を事実上封殺するような特段の事情がない限り、合憲とされる基準として機能する。
事件番号: 昭和24(ク)67 / 裁判年月日: 昭和24年10月31日 / 結論: 却下
【結論(判旨の要点)】最高裁判所に対する抗告は、訴訟法が特に最高裁判所の権限に属するものと定めた場合に限り許容される。具体的には、旧民事訴訟法419条の2(現行336条)の特別抗告のように、憲法違反を理由とする場合に限定される。 第1 事案の概要:抗告人が最高裁判所に対して抗告を申し立てたが、その抗告申立書の内容から、…
事件番号: 昭和46(ク)381 / 裁判年月日: 昭和46年12月23日 / 結論: 棄却
特別抗告の期間を五日と定める民訴法四一九条ノ二第二項の規定は憲法三二条に違反しない。
事件番号: 昭和26(ク)53 / 裁判年月日: 昭和26年6月21日 / 結論: 却下
【結論(判旨の要点)】最高裁判所に対する抗告申立期間は、民事訴訟法(旧法)の規定に照らし、決定の送達を受けた日から5日以内である。この期間を徒過してなされた抗告は不適法として却下される。 第1 事案の概要:抗告人は、大阪高等裁判所が昭和26年2月24日になした決定について、同年3月2日に送達を受けた。しかし、本件抗告状…
事件番号: 昭和24(ク)75 / 裁判年月日: 昭和26年2月6日 / 結論: 却下
【結論(判旨の要点)】最高裁判所に対する抗告は、民事訴訟法上の特別抗告(憲法違反等を理由とするもの)に限られ、それ以外の理由による抗告は不適法として却下される。 第1 事案の概要:抗告人が最高裁判所に対して抗告を申し立てた事案。抗告人が主張した抗告理由は、原決定において法律・命令・規則又は処分が憲法に適合するか否かにつ…
事件番号: 昭和29(ク)53 / 裁判年月日: 昭和29年5月21日 / 結論: 却下
【結論(判旨の要点)】最高裁判所が抗告に関して裁判権を有するのは、訴訟法上特に許された場合に限られ、民事事件においては、原決定の憲法判断の不当を理由とする特別抗告のみが認められる。 第1 事案の概要:抗告人は、仮処分により保全すべき権利について疎明がないとした原決定を不服として、最高裁判所に対し抗告を申し立てた。その際…