判旨
最高裁判所は法律審であり、原判決の事実誤認を主張することは適法な上告理由とはならない。また、上告審において新たな証拠を提出して事実誤認を立証することは認められない。
問題の所在(論点)
法律審である最高裁判所に対する上告において、単なる事実誤認の主張が適法な上告理由となるか。また、上告審において新証拠の提出およびそれに基づく事実認定の変更が可能か。
規範
上告は、原判決が法令に違背したことを理由とする場合に限り行うことができる(民事訴訟法312条1項・2項参照)。事実審理を行わない法律審としての最高裁判所においては、原審に提出しなかった新証拠に基づき、原判決の事実誤認について審理判断することはできない。
重要事実
上告人が、原判決には事実誤認がある旨を主張して上告を提起した事案である。その際、上告人は原審(控訴審)には提出していなかった新しい証拠を最高裁判所に提出し、これによって原審の事実認定が誤っていることを立証しようと試みた。
あてはめ
上告人の主張は、結局のところ原判決の事実誤認を非難することに帰着するものである。しかし、上告理由は法令違背に限定されるため、事実誤認の主張は適法な上告理由に当たらない。また、最高裁判所は事実審理を行わない法律審であるから、原審で提出されなかった新証拠を受理し、それに基づき事実認定をやり直すことはその職能を超えており、審理判断の対象とはならない。
結論
本件上告は適法な上告理由を欠くため、棄却される。上告審での新証拠提出は認められない。
実務上の射程
民事訴訟における法律審(上告審)の性格を明確にする判例である。答案上は、上告理由が法令違背(憲法違反・絶対的上告理由・相当な理由のある法律違背)に限定されること、および新証拠に基づく事実争い(いわゆる「事後審」としての性質)が許されないことの根拠として用いる。
事件番号: 昭和24新(れ)43 / 裁判年月日: 昭和26年7月20日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】控訴審で主張せず判断も受けなかった事項は上告適法の理由とならず、また単なる事実誤認の主張は判例違反には当たらない。 第1 事案の概要:被告人が上告審において主張した第一点の内容は、第一審判決に対して主張可能であったにもかかわらず、控訴趣意書に記載がなく、控訴審(原審)の判断も経ていないものであった…