判旨
旧刑事訴訟法下において、原審が認定していない事実に依拠した事実誤認の主張や、量刑不当を理由とする上告は、適法な上告理由には当たらない。
問題の所在(論点)
旧刑事訴訟法における上告理由の適格性(特に、原審の認定しない事実に依拠した事実誤認の主張および量刑不当の主張が適法な上告理由となるか)。
規範
上告審において適法な上告理由を構成するためには、判決当時の訴訟法(旧刑事訴訟法)に基づき、原審が認定した事実を前提とする憲法違反や法令違背の指摘が必要であり、原審が認定していない事実を前提とする主張や、単なる量刑不当の主張は上告理由として認められない。
重要事実
被告人が原判決に対して上告を提起した事案。弁護人は上告趣意書において、第一に原審の認定していない事実に基づいた事実誤認を主張し、第二に原審の量刑が不当であることを主張した。
あてはめ
弁護人の第一の主張は、原審が認定していない事実に依拠して原判決の事実誤認をいうものである。これは原審の判断プロセスの法的瑕疵を突くものではなく、前提事実自体を争うものであるため、法律審である上告審の趣旨に照らし不適当である。また、第二の主張である量刑不当は、裁量権の逸脱・濫用等の特段の事情を論じるものではなく、単なる量刑の不満を述べるに過ぎないため、適法な上告理由とならない。
結論
本件上告は適法な理由を欠くため、旧刑事訴訟法446条により棄却される。
実務上の射程
現行刑事訴訟法(405条等)下でも同様に、上告審は法律審であり、原則として事実誤認や量刑不当は上告理由とならない。本判決は、上告審における審理の対象が原判決の判断の当否(法的側面)に限定されることを端的に示すものであり、答案上は上告受理申立てや上告理由の適格性を論じる際の前提知識として活用できる。
事件番号: 昭和26(れ)468 / 裁判年月日: 昭和26年6月14日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】事実誤認または量刑不当の主張は、刑訴応急措置法13条2項に基づき、上告適法の理由には当たらない。 第1 事案の概要:被告人両名の弁護人が、原判決に対して上告を申し立てた。弁護人が提出した上告趣意書の内容は、原審の事実認定に誤りがあること、および原審の量刑が不当に重いことの二点を主張するものであった…