判旨
控訴審で主張せず判断も受けなかった事項は上告適法の理由とならず、また単なる事実誤認の主張は判例違反には当たらない。
問題の所在(論点)
控訴審で主張しなかった事項を上告理由とすることの可否、および事実誤認の主張が判例違反としての適法な上告理由になり得るか。
規範
上告審において適法な上告理由とするためには、第一審判決に対して主張可能であった事項については控訴趣意書に記載し、控訴審の判断を経ていることを要する。また、事実誤認をいうにすぎない主張は、判例違反等の上告理由を構成しない。
重要事実
被告人が上告審において主張した第一点の内容は、第一審判決に対して主張可能であったにもかかわらず、控訴趣意書に記載がなく、控訴審(原審)の判断も経ていないものであった。また、上告趣意第二点は事実誤認を主張するものであり、原判決が引用された大審院判例に違反するものではなかった。
あてはめ
上告趣意第一点は、控訴審で主張可能であったにもかかわらず控訴趣意書に記載されず、原審の判断も受けていない。このような事項は、上告審において適法な理由として提出できない。また、第二点はその実質が事実誤認の主張にすぎず、判例違反の存在が認められないため、上告理由として採用できない。
結論
本件上告は、適法な上告理由を欠くため、刑事訴訟法408条により棄却される。
実務上の射程
上告審の構造が事後審であることを前提に、控訴審で審理されていない新事由の持ち込みを制限する趣旨を示す。実務上は、上告理由として認められるための手続的制約(控訴審での主張の有無)を確認する際に用いる。
事件番号: 昭和25(あ)2563 / 裁判年月日: 昭和26年6月28日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】事実誤認および量刑不当の主張は、刑事訴訟法405条に規定される適法な上告理由には当たらない。 第1 事案の概要:被告人側が、原判決には「事実の誤認」および「量刑の不当」があるとして上告を申し立てた事案。記録上、特段の憲法違反や判例相反事由は主張されていない。 第2 問題の所在(論点):刑事訴訟法4…