判旨
既判力の標準時は口頭弁論終結時であり、終結時点で被告が所有者であれば、その後の目的物喪失は判決の正当性に影響せず、履行不能による執行の問題にとどまる。
問題の所在(論点)
口頭弁論終結後に目的物の所有権が第三者に移転(または公的に買収)された場合、その前の終結時を基準としてなされた給付判決は違法となるか。
規範
判決は口頭弁論終結時を標準としてなされるものである。したがって、終結時において義務者が目的物の所有権を有していた以上、判決言渡し後に目的物の所有権を喪失したとしても、当該判決が当然に違法となるものではない。これは特定物給付を命ずる判決の確定後に、目的物が滅失して執行不能に帰する場合と同様の法理である。
重要事実
上告人(被告)から被上告人(原告)への土地所有権移転登記手続を命じる訴訟において、原審の最終口頭弁論期日は昭和23年9月13日であった。当時、上告人が当該土地の所有者であった事実に争いはなかった。しかし、原判決の言渡し後に、自作農創設特別措置法に基づく政府による買収がなされ、上告人は当該土地の所有権を失い、登記簿上の権利者ではなくなったため、上告人を理由とする違法性を主張して上告した。
あてはめ
本件において、原審の口頭弁論終結時である昭和23年9月13日時点で、上告人が本件土地の所有者であったことは確定している。その後の自作農創設特別措置法による買収は、口頭弁論終結後の事情にすぎない。これは、特定物給付を命じる判決の終結後に目的物が滅失した事態と同様であり、判決の効力そのものを否定する理由にはならない。登記申請が受理されない可能性はあるが、それは執行段階の不能の問題であって、判決自体の適否とは別異の解釈を要する。
結論
口頭弁論終結時の権利関係に基づきなされた判決は適法であり、その後の所有権喪失を理由とする判決の違法主張は認められない。
実務上の射程
既判力の時間的限界(標準時)に関する基本判例である。答案上は、口頭弁論終結後の後発的事象が判決の正当性や既判力に及ぼす影響を論じる際に活用する。給付判決の可否はあくまで標準時で決まり、その後の履行不能(目的物滅失や二重譲渡による所有権喪失)は執行段階や請求異議の訴え等で解決すべき問題であるという切り分けを明示する際に有用である。
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書証を提出者の不利益に判断し、かえつて相手方の利益に判断しても違法ではない。
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一 自作農創設特別措置法に基く農地の買収の場合においては、同法第九条の規定による買収令書の交付又はこれに代わるべき公告の手続がなされない限りは当該農地の所有権は、政府に移転しない。 二 農地調整法第四条は、所有権移転登記が虚偽の意思表示に基くものであることを理由として、その登記名義回復のため所有権移転登記手続をする場合…