判旨
確認の訴えは、現在の権利又は法律関係の存否を対象とすべきであり、過去の法律関係の確認を求める訴えは、原則として確認の利益を欠き不適法である。
問題の所在(論点)
過去の法律関係の存否を確認の対象とすることにつき、確認の利益が認められるか。
規範
確認の訴えにおける確認の対象は、原則として現在の権利又は法律関係に限られる。過去の権利又は法律関係の存否は、現在の紛争を解決するための前提にすぎず、その存否を直接の対象として確認を求めることは、特段の事情がない限り確認の利益を欠くものとして許されない。
重要事実
上告人(土地所有者)は、無断譲渡を理由に賃貸借契約を解除したとして、占有者である被上告人らに対し土地明渡請求等を提起した。しかし、訴訟継続中に自作農創設特別措置法に基づき本件土地が国に買収されたため、上告人は所有権を喪失した。これを受け、上告人は請求を「所有権喪失以前の時点において、上告人と被上告人らとの間に賃貸借契約が存在しなかったことの確認」を求める訴えへと変更した。
あてはめ
上告人が求めているのは、土地の所有権を喪失した昭和23年4月10日より前の時点における賃貸借契約の不存在という「過去の法律関係」である。本件において、上告人は既に土地所有権を失っており、過去の一定時点における賃貸借契約の有無を確認することは、現在の権利義務関係を確定させるための適切な手段とはいえない。したがって、当該確認の訴えは、現在の権利又は法律関係の存否を問うものではない以上、確認の利益を欠くものと解される。
結論
過去の法律関係の存否の確認を求める訴えは、確認の利益を欠き不適法であるため、却下を維持した原判決は正当である。
実務上の射程
確認の訴えの対象を選択する際の基本原則(現在性)を示す重要判例である。答案上は、確認の利益の「対象の適切性」の要件として引用する。ただし、後に最高裁は「過去の法律関係であっても、それが現在の紛争解決に直結し、最も有効適切な手段である場合」には例外的に確認の利益を認める判示(最判昭28・2・19等)をしており、本判決はその原則論を示すものとして位置づけられる。
事件番号: 昭和24(オ)293 / 裁判年月日: 昭和26年12月25日 / 結論: 棄却
一 戦時罹災土地物件令第三条は、同条所定の期間、借地権者の土地に対する使用収益を制限すると共に、その地代又は借賃の支払義務を免れしめるに止まり、借地権自体の譲渡を制限禁止する趣旨ではない。 二 一旦相手方の賃借権を承認した者は、賃貸借の対抗要件の欠缺を主張して相手方の賃借権を否定することは許されない。
事件番号: 昭和34(オ)325 / 裁判年月日: 昭和36年3月7日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】土地区画整理に伴う仮換地の指定により、従前の土地が使用収益できなくなった場合であっても、土地区画整理施行者への申告等を通じて仮換地を使用収益し得る地位にある以上、賃借権存在の確認を求める訴えの利益が認められる。 第1 事案の概要:賃貸借契約の当事者間で、当該契約の存否が争われた事案である。対象土地…
事件番号: 昭和27(オ)1149 / 裁判年月日: 昭和29年11月16日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】農地の売渡処分が完了し効力を生じた後は、後日農地委員会が売渡計画の取消を決議し申達したとしても、既になされた処分の効力は当然には左右されない。また、強制譲渡の義務は県知事による譲渡令書の交付によって発生するため、単なる計画の申達段階では売渡処分の効力に影響を及ぼさない。 第1 事案の概要:本件農地…
事件番号: 昭和59(オ)1367 / 裁判年月日: 昭和61年11月18日 / 結論: その他
甲が他から買い受けた建物につき乙名義で所有権移転登記を経由した後これを丙に賃貸してその引渡しを了した場合において、右建物が真実乙の所有であると信じていた丁が、これを乙から買い受けようとした戊に融資をして乙より右建物につき抵当権の設定を受け、その実行により自ら競落人となつて右建物の所有権を取得したときは、丁において右建物…