判旨
準消費貸借契約の成立が認められる場合であっても、別個の契約である保証契約の成立については独立して証拠により判断されるべきであり、これを否定することは妨げられない。また、書面上の印影が本人の意思に基づかないと認定される場合には、当該書面の証拠力は否定される。
問題の所在(論点)
主債務(準消費貸借)の成立が認められる場合に、それと密接に関連する保証契約の不成立を認めることが許されるか。また、本人の意思に基づかない印影がある文書の証拠力をどう解すべきか。
規範
準消費貸借契約と保証契約は、それぞれ独立した契約関係である。したがって、主債務の発生原因となる準消費貸借の成立が肯定されたとしても、当然に保証契約の成立が導かれるものではなく、保証契約の成否は個別の証拠に基づき判断されるべきである。また、文書の真正が争われる場合、印影が本人の意思に基づき作成されたものでないときは、その文書の証拠力は否定される。
重要事実
上告人と参加人との間で準消費貸借契約が締結された。上告人は、被上告人(相手方)がこの準消費貸借について保証契約を締結したと主張し、保証の記載がある文書(甲第一号証ノ二)を提出した。しかし、被上告人は保証契約の成立を否認。原審は、同書面のうち被上告人の印影がある保証関係の部分は、被上告人の意思に基づき作成されたものではないと認定した。
あてはめ
準消費貸借は上告人と参加人間の契約であり、保証契約は上告人と被上告人間の契約である。これらは別個の法律関係であるため、主債務の成立を認めつつ、保証契約の存在を否認することは論理的に矛盾しない。本件では、保証を証明すべき文書の印影が被上告人の意思に基づかないと確定されており、他の証拠(Dの記載等)も誤解に基づくものと推認されるため、保証契約の成立を認めるに足りる証拠はないといえる。
結論
準消費貸借の成立が認められる場合でも、保証契約の存在を否認することは可能であり、保証契約の成立を認めなかった原判決に違法はない。
実務上の射程
主債務と保証債務の峻別という基礎的な法理を確認するものである。実務上は、書証(保証書等)の成立の真正が争点となる場面で、二段の推定が及ばない(印影が本人の意思に基づかない)場合の事実認定のあり方を示す。答案上は、保証契約の成否が争われる事案において、主債務の存在から保証の存在を安易に推認せず、独立した契約として認定すべき根拠として活用できる。
事件番号: 平成28(受)944 / 裁判年月日: 平成29年3月13日 / 結論: 破棄自判
AのXに対する貸金債務についてYがXとの間で保証契約を締結した場合において,YがXから金員を借り受けた旨が記載された公正証書が上記保証契約の締結の趣旨で作成され, 上記公正証書に記載されたとおりYが金員を借り受けたとしてXがYに対して貸金の支払を求める旨の支払督促の申立てをしたとの事情があっても,上記支払督促は,上記保…