判旨
建物の一部を目的とする賃貸借契約は、当事者の合意がある限り有効に成立し、その範囲外の占有には賃借権の対抗力が及ばない。
問題の所在(論点)
建物の一部のみを目的とする賃貸借契約の成否、および契約から除外された部分に対する占有権原の有無。
規範
建物の一部についても、当事者の合意により独立して賃貸借契約の目的とすることが可能である。賃貸借の対象範囲は当事者の合意によって画定され、合意に含まれない部分は賃貸借の効力が及ばない不法占有となる。
重要事実
被上告人(所有者)が、上告人に対し、本件建物内の工場部分を不法に占拠しているとして所有権に基づく明渡しを求めた事案。上告人と建物前所有者の間には建物の一部の賃貸借が成立していたが、その契約時に本件工場部分は賃借の目的から除外されていた。上告人は、工場部分についても占有権原(賃借権)があると主張して抗弁した。
あてはめ
上告人と前所有者との契約締結時、工場部分が賃借の目的から除外されていた事実は証拠により認定されている。建物の一部を賃貸借の対象とすることは論理法則や経験法則に反せず有効である。したがって、賃借権の範囲に含まれない工場部分の占拠について、上告人は正当な権原を立証できていない。
結論
本件工場部分は賃貸借の目的物に含まれていないため、上告人の占有は権原なき不法占拠にあたり、所有権に基づく明渡請求は認容される。
実務上の射程
賃貸借契約の目的物が建物の一部に限定されることを肯定した実務上重要な判断。不動産の一部利用に関する紛争において、契約書の目的物条項や合意内容の認定に基づき、占有権原の有無を判断する際の基礎となる。答案では、契約の対象範囲が特定されている場合に、その範囲外の占有を不法占有と断ずる際の根拠として活用できる。
事件番号: 昭和24(オ)63 / 裁判年月日: 昭和26年3月29日 / 結論: 棄却
一 甲証人尋問のため指定された期日に、別に期日外に申請されていた乙証人がたまたま在廷していたために、甲証人尋問に引き続いてその取調をした場合においても、当事者がその尋問について異議を述べなかつたときは、その証拠申請について特に意見を述べる機会が与えられていなくても、乙証人の証言を証拠とすることは差支えない。 二 本人尋…