判旨
自作農創設特別措置法における在村地主の判定において、疾病等の特別の事情により一時的に住所を離れたか否かは、本人の主観的な目的のみならず、諸般の客観的な事実を総合して判断されるべきである。
問題の所在(論点)
自作農創設特別措置法上の「不在地主」か「在村地主(とみなされる者)」かの判定基準において、主観的な目的と客観的な事実のいずれを重視して判断すべきか、また療養中の就業事実が「疾病」による不在の認定を妨げるか。
規範
自作農創設特別措置法4条2項及び同施行令1条1号にいう「疾病」等の特別の事情により市町村の区域内に住所を有しない者に該当するか否かは、単なる本人の主観的な意思のみによって決せられるものではなく、不在の理由、期間、不在中の活動等の諸般の客観的事情を総合考慮して、その不在が一時的なものといえるか、将来の帰来を前提としたものであるかという観点から判断すべきである。
重要事実
地主である被上告人が、祖先伝来の住所であるa村を離れ、D逓信局に就職して勤務していた。上告人(国側)は、被上告人が意思と行動において一時的な離村とは認められず不在地主にあたると主張したが、被上告人は疾病療養のために離村したのであり、勤務は療養中の生活費を稼ぐための付随的な活動に過ぎず、健康回復後は帰村する意図であったと主張した。
あてはめ
被上告人がa村に住所を有していなかった主因は疾病療養であり、逓信局での勤務事実があるとしても、それは療養の傍ら生活を維持するための手段として評価される。また、将来健康を回復した上で祖先伝来の自宅に帰り農業に従事する目的を有していた。これらは単なる主観のみに基づくものではなく、原審が挙げた諸般の客観的事情から裏付けられる事実認定である。したがって、疾病という特別の事情による不在であり、在村地主とみなすのが相当である。
結論
被上告人の不在は施行令1条1号所定の「疾病」という特別の事由に基づくものと認められる。したがって、被上告人は不在地主には該当せず、農地買収の対象となる不在地主としての認定を排斥した原判決は正当である。
事件番号: 昭和30(オ)707 / 裁判年月日: 昭和33年10月24日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】自作農創設特別措置法4条にいう「同居の親族」の該否は、親族関係及び同居の事実の有無により決せられ、同居に至る理由や権利取得の原因が家督相続である等の事情は、同条の適用を妨げるものではない。 第1 事案の概要:上告人と訴外Dは親族関係にあり、かつ同居していた。行政庁は、両名が同法4条の「同居の親族」…
実務上の射程
行政法における要件認定(特に「特別の事情」や「居住」の認定)において、主観的意図と客観的事実の相関関係を示す。特定の事実(本件では就労)が存在しても、それが他の主要な目的(療養)に付随するものであると評価できる場合には、主要な目的を基礎とした法的評価が可能であることを示唆している。
事件番号: 昭和41(行ツ)41 / 裁判年月日: 昭和43年5月28日 / 結論: 破棄差戻
耕地整理の施行により大略一反歩ずつに整然と区画されて後、都市計画法による都市計画区域に編入された土地を対象とする農地買収処分の無効確認訴訟において、旧所有者である原告から、右土地が大都市近郊の住宅地として開発され、戦前すでに風致地区に指定された旨の主張があり、また判示のように、右土地の耕作が必ずしも正当な権原に基づくも…
事件番号: 昭和52(行ツ)104 / 裁判年月日: 昭和54年3月15日 / 結論: 棄却
不在地主が自作農創設特別措置法(昭和二二年法律第二四一号による改正前のもの)四条二項の規定により在村地主とみなされるためには、離村の原因が同法施行令(昭和二三年政令第三六号による改正前のもの)一条所定の特別の事由によるものであれば足り、右事由が存しなかつたならば在村しみずから小作地を耕作することができたことを要しない。
事件番号: 昭和28(オ)1266 / 裁判年月日: 昭和33年4月30日 / 結論: 棄却
農地所有権の移転後、移転登記未経由の間に登記簿上の所有名義人を所有者としてなされた農地買収処分は、当然無効と解すべきではない
事件番号: 昭和30(オ)718 / 裁判年月日: 昭和33年3月7日 / 結論: 棄却
一 農地所有者の地位、職業、子の教育関係等を考慮すれば右所有者が村内に住所を有するに至るであろう時期が七年余の将来より更におくれるかも知れない状況にある場合は、その地主は自作農創設特別措置法第四条第三項にいわゆる「当該農地のある市町村の区域内に住所を有するに至る見込のあるもの」に該当しない。 二 農地賃貸借について農地…