判旨
自作農創設特別措置法4条にいう「同居の親族」の該否は、親族関係及び同居の事実の有無により決せられ、同居に至る理由や権利取得の原因が家督相続である等の事情は、同条の適用を妨げるものではない。
問題の所在(論点)
自作農創設特別措置法4条所定の「同居の親族」の意義、及び家督相続により取得した農地について同条の適用(合算規定)が排除されるか。
規範
自作農創設特別措置法4条の「同居の親族」に該当するか否かは、親族関係にあり、かつ現実と同居しているという客観的事実に基づき判断される。また、同法による農地買収は、地主が取得した農地の所有権全般を対象とするものであり、その取得原因(家督相続等)や既得権保護を理由に同条の適用(世帯単位での保有面積合算)が排除されることはない。
重要事実
上告人と訴外Dは親族関係にあり、かつ同居していた。行政庁は、両名が同法4条の「同居の親族」に当たるとして、両名が所有する小作地を合算して保有面積を計算し、農地の買収計画を立てた。これに対し上告人は、同居の理由に特殊な事情があること、及びDが取得した権利は旧民法下の家督相続による既得権であり、民法改正後も保護されるべき(改正法附則4条但書)であるから、面積合算の対象外であると主張して争った。
あてはめ
まず、上告人とDが親族であり同居している事実に争いがない以上、同居に至る具体的な理由のいかんを問わず、同法4条にいう「同居の親族」に該当すると評価される。次に、同法による買収制度は、取得原因を問わず地主の所有権を対象とするものである。したがって、家督相続という特定の原因により取得された権利であっても、他の原因による取得と同様に、同法4条による世帯単位の面積規制を受ける。改正民法の附則を根拠に、これを既得権として特別視し合算を免れるとする上告人の主張は、法の趣旨に照らし採用できない。
結論
上告人とDは「同居の親族」に該当し、両者の所有地を合算して買収計画を策定した処分は適法である。
事件番号: 昭和27(オ)670 / 裁判年月日: 昭和32年3月14日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】自作農創設特別措置法4条1項の「同居の親族」とは、住居を一にするだけでなく、実質的に生計を同じくする親族を指す。衣食住の生活において相互扶助関係が強く、実質的に同一世帯内にあると認められる場合は、形式上別個の世帯主として扱われていても同居の親族に該当する。 第1 事案の概要:上告人は、農地や山林を…
実務上の射程
行政法における「世帯合算」等の要件解釈において、事実上の同居実態という客観的要素を重視し、主観的な事情や取得経緯による例外を認めない姿勢を示す。農地法制の合憲性や既得権の限界を論ずる際の補強材料として機能する。
事件番号: 昭和27(オ)641 / 裁判年月日: 昭和28年10月20日 / 結論: 棄却
一 自作農創設特別措置法第四条第一項にいう「同居の親族」とは、農地所有者と住居および生計を同じくするその親族をいい、生計を同じくするとは、農地所有者とその親族との間に、生計上相互にもしくは一方が他方に依存する関係がある場合を指すものと解すべきである。 二 親子の間柄として本来生計上依存関係の強い父とその二男(当時なお独…
事件番号: 昭和24(オ)298 / 裁判年月日: 昭和26年11月30日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】自作農創設特別措置法における在村地主の判定において、疾病等の特別の事情により一時的に住所を離れたか否かは、本人の主観的な目的のみならず、諸般の客観的な事実を総合して判断されるべきである。 第1 事案の概要:地主である被上告人が、祖先伝来の住所であるa村を離れ、D逓信局に就職して勤務していた。上告人…
事件番号: 昭和30(オ)718 / 裁判年月日: 昭和33年3月7日 / 結論: 棄却
一 農地所有者の地位、職業、子の教育関係等を考慮すれば右所有者が村内に住所を有するに至るであろう時期が七年余の将来より更におくれるかも知れない状況にある場合は、その地主は自作農創設特別措置法第四条第三項にいわゆる「当該農地のある市町村の区域内に住所を有するに至る見込のあるもの」に該当しない。 二 農地賃貸借について農地…
事件番号: 昭和28(オ)1266 / 裁判年月日: 昭和33年4月30日 / 結論: 棄却
農地所有権の移転後、移転登記未経由の間に登記簿上の所有名義人を所有者としてなされた農地買収処分は、当然無効と解すべきではない