判旨
事実審における証拠の取捨、判断および事実の認定は、その自由裁量に属する事項であり、これに対する不服は適法な上告理由とはならない。
問題の所在(論点)
事実審の専権事項である証拠の取捨、判断および事実の認定の不当を理由として、最高裁判所に対し上告を申し立てることができるか(民事訴訟法上の適法な上告理由に当たるか)。
規範
証拠の取捨選択、証拠の証明力の判断、およびそれらに基づく事実認定は、専ら事実審裁判所の自由な心証(自由裁量)に委ねられる。したがって、憲法違反や重大な訴訟手続の違反等、法律が定める特段の事由がない限り、単なる事実認定の不当を理由として上告を申し立てることはできない。
重要事実
上告人は、原審(事実審)が行った証拠の取捨、判断および事実の認定に不服があるとして上告を申し立てた。しかし、上告人が主張した内容は、原審の証拠評価や事実認定のプロセスそのものを攻撃するものであった。
あてはめ
上告人の主張は、結局のところ事実審である原審の自由裁量に属する証拠の取捨、判断および事実の認定を攻撃するものに帰着する。これは、法律審である最高裁判所が審理すべき「法の適用」に関する問題ではなく、事実認定の是非を問うものである。したがって、適法な上告理由を構成しないと解される。
結論
本件上告は、適法な上告理由に基づかないものであるため、棄却される。
実務上の射程
民事訴訟における事実認定の専権(自由心証主義)を確認した判例である。司法試験の答案上は、事実認定の不当を争う主張がなされた際、法律審である最高裁判所への適法な不服申立てではないことを示す文脈で活用できる。ただし、現代の民事訴訟法(312条等)における具体的な上告理由の区分に留意して論じる必要がある。
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