判旨
労働基準法上の災害補償等の請求において、特定の傷害と後遺症との間の相当因果関係が認められない場合、法違反の主張は前提を欠き認められない。
問題の所在(論点)
特定の傷害と後遺症との間の因果関係が否定される場合に、当該傷害を前提とする憲法や労働基準法違反の主張が認められるか。
規範
労働災害等に基づく補償請求において憲法や労働基準法等の違反を主張するためには、前提として、対象となる傷病と職務上の事故等との間に相当因果関係が認められることを要する。
重要事実
上告人は、昭和29年5月28日に被った傷害を原因として後遺症が生じたと主張し、憲法及び労働基準法等の違反を訴えた。しかし、原審は当該傷害と上告人の主張する病状との間の因果関係を否定した。
あてはめ
原審において、上告人の所論の病状が昭和29年の傷害を原因として生じた後遺症であるとは認められないと認定されている。この事実認定が正当である以上、当該傷害を原因とする法違反の主張は、その前提を欠くものと評価せざるを得ない。
結論
傷害と後遺症との間の因果関係が認められない以上、上告人の主張は採用できず、上告は棄却される。
実務上の射程
労働法や不法行為法における因果関係の有無は事実認定の問題であり、因果関係が否定されれば法的な救済(補償等)の前提が失われるという基本的な理屈を示すものである。答案上は、まず因果関係の存否を確定させる必要性を説く際に参照し得る。
事件番号: 昭和31(オ)26 / 裁判年月日: 昭和33年6月20日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】上告理由が原審の事実認定を攻撃するもの、または原審において主張しない事実を前提とするものである場合には、適法な上告理由には当たらない。 第1 事案の概要:上告人は、原審(控訴審)の判決に対し、事実認定の不当性等を理由として上告を提起した。しかし、その主張内容は原審の事実認定自体を攻撃するもの、ある…