判旨
事実認定および証拠の取捨選択は原審(事実審)の専権事項であり、経験則違背等の特段の事情がない限り、上告審がこれを覆すことはできない。
問題の所在(論点)
原審による事実認定および証拠の取捨選択に、上告理由となるような経験則違背や審理不尽等の違法が存在するか。
規範
事実の認定、証拠の取捨選択および判断は、事実審裁判所の専権に属する事項である。したがって、それらに経験則違背や審理不尽等の著しい違法が認められない限り、上告審においてこれを争うことはできない。
重要事実
上告人は、原判決が認定した各事実について、経験則違背や審理不尽等の違法があると主張して上告を申し立てた。しかし、具体的な事案の内容や争点となった具体的な事実関係については、本判決文からは不明である。
あてはめ
原判決が挙げた証拠に照らせば、原審が認定した各事実に不合理な点は認められない。上告人が主張する違法(経験則違背等)は認められず、その主張は実質的に、原審の専権に属する事実認定や証拠の評価を非難するものにすぎないといえる。
結論
本件上告は理由がないため、棄却される。
実務上の射程
民事訴訟における事実認定の専権(自由心証主義)を確認した判例である。司法試験の答案作成においては、上告審の審査対象が原則として法律問題に限られること(法律審)を論述する際の根拠として機能する。事実認定の不当を争う場合には、単なる評価の相違ではなく「経験則違背」や「論理法則違反」といった法的欠陥まで昇華させて主張する必要があることを示唆している。
事件番号: 昭和26(オ)913 / 裁判年月日: 昭和28年5月14日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】民事上告において、原審の証拠取捨選択や事実認定を非難する主張は、特例法上の重要な法令解釈の主張には該当せず、上告を棄却すべきである。 第1 事案の概要:上告人は、原審における証拠の取捨選択および事実認定について不服を申し立て、上告した。具体的には、証人D、E、Fの証言として、当日現金を持参した旨の…
事件番号: 昭和26(オ)256 / 裁判年月日: 昭和28年9月11日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】裁判所は、主要事実につき当事者の主張がある場合には、これを推認させる間接事実に限り、当事者の陳述がなくても「顕著な事実」として判決の基礎とすることができる。また、職務上顕著な事実とは、公知の事実に限らず、当該裁判所が職務上知得した事実をも含む。 第1 事案の概要:上告人と訴外Dとの間で行われた立木…
事件番号: 昭和35(オ)312 / 裁判年月日: 昭和35年10月28日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】事実認定の前提となる証拠の取捨判断は、特段の事情がない限り事実審の専権に属する事項であり、これに対する不服は上告理由とならない。 第1 事案の概要:被上告人が本件土地建物を大正4年頃に訴外Dから買い受け、現に所有しているとの事実を一審判決が認定し、原審もこれを引用した。これに対し、上告人らは独自の…
事件番号: 昭和33(オ)258 / 裁判年月日: 昭和35年2月9日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】原審が行った証拠の取捨選択および事実認定が適法である限り、上告審においてこれと異なる事実を主張して原判決を非難することは、上告理由にならない。 第1 事案の概要:上告人らは、原審が認定した売買の事実について、証拠の取捨選択や事実認定に誤りがあるとして、原判決の違法を主張し、上告を申し立てた。なお、…