判旨
行政事件訴訟特例法5条5項の「特別の定」には、昭和22年3月1日以降に制定された法律が含まれ、たとえそれが従前の法律の改正規定であっても適用される。自作農創設特別措置法47条の2による出訴期間の制限は、同条項の特別の定に該当し、憲法にも違反しない。
問題の所在(論点)
昭和22年3月1日以前に制定された法律を「同日以降に改正」して設けられた出訴期間の規定が、行政事件訴訟特例法5条5項の「特別の定」に該当するか。また、このような短期間の出訴制限を設けることが憲法に違反しないか。
規範
行政事件訴訟特例法附則3項の趣旨に基づき、昭和22年3月1日以降に制定された法律(従前の法律を改正する規定を含む)に定められた出訴期間等の規定は、同法5条5項にいう「他の法律に特別の定がある場合」に該当する。また、行政処分の取消等の訴えについて、合理的な必要性に基づき従来より短い出訴期間を定めることは、憲法に違反しない。
重要事実
上告人は、自作農創設特別措置法に基づく行政処分の取消しを求めて提訴した。同法は昭和21年に制定されたが、出訴期間を定める47条の2の規定は昭和22年12月の改正により導入されたものである。行政事件訴訟特例法附則3項は、昭和22年3月1日より前に制定された法律については「特別の定」とみなさない旨を規定していたため、同法47条の2が有効な制限として機能するかが争点となった。
あてはめ
行政事件訴訟特例法附則3項が「昭和22年3月1日前に制定された法律」を適用除外としたのは、新憲法下の訴願制度等との整合性を図るためであり、文理上、同日以降の改正規定には適用されない。本件の自作農創設特別措置法47条の2は、民事訴訟応急措置法8条の出訴期間とは異なる期間を定める必要性に基づき、昭和22年12月に制定(改正)されたものであるから、特例法5条5項の「特別の定」にあたる。さらに、当該期間制限は、判例の趣旨に照らし、行政上の法律関係の早期安定を図る合理的な制約として合憲である。
結論
自作農創設特別措置法47条の2は有効な特別規定であり、同法に基づく出訴期間の制限を認めた原審の判断は正当である。
事件番号: 昭和24(オ)14 / 裁判年月日: 昭和24年7月2日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】行政処分の取消訴訟における出訴期間の起算点に関し、処分の有効・無効は原則として影響せず、処分があったことを知った日から期間が進行する。また、たとえ処分自体に違法の疑いがあっても、法定の不服申立期間を経過した後の提訴は不適法である。 第1 事案の概要:上告人らは、自作農創設特別措置法に基づく被上告委…
実務上の射程
行政救済法における出訴期間の制限が、法の制定・改正時期によってどのように取り扱われるかを示す。現代の行政事件訴訟法においても、個別法による出訴期間の特則(行訴法14条1項但書等)の解釈において、制定の経緯や合理的な必要性を検討する際の基礎的な法理として機能する。
事件番号: 昭和24(オ)221 / 裁判年月日: 昭和25年8月29日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】自作農創設特別措置法附則2項に基づき、指定期日現在の事実に遡及して農地買収計画を定めることは、農地改革を免れる脱法行為を防止する趣旨から、特段の事情がない限り「相当」と認められる。 第1 事案の概要:上告人は本件農地の買収計画が定められた時点ではその所有者であった。しかし、指定期日である昭和20年…
事件番号: 昭和25(オ)341 / 裁判年月日: 昭和27年4月18日 / 結論: 破棄差戻
行政事件訴訟特例法施行の日に農地買収計画に対する異議申立期間が満了し、当時の交通事情等により訴訟関係人らが同法の内容を知り得なかつた事情があるならば、同法施行後にかいても、右買収計画の取消を求める訴を提起するについて異議、訴願を経ない正当な事由があるものというべきである。
事件番号: 昭和27(オ)1100 / 裁判年月日: 昭和30年4月12日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】行政庁の裁量権の有無及び範囲は、根拠規定が客観的な判断基準を示しているか否かにより区別され、基準がない場合は政策的考慮に委ねられた自由裁量となる一方、基準がある場合はその基準への該当性に関し裁判所の審査が及ぶ。 第1 事案の概要:上告人は、自作農創設特別措置法(以下「法」という)に基づき、本件土地…
事件番号: 昭和25(オ)10 / 裁判年月日: 昭和26年11月2日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】行政処分の取消しを求める訴えが、出訴期間を経過した後に提起された不適法なものである場合、当該処分に無効原因があるとの主張が含まれていても、裁判所は処分の当否について実体的な判断を加える必要はない。 第1 事案の概要:上告人所有の農地に対し、農地委員会および県知事が農地買収計画および買収処分を行った…