判旨
自作農創設特別措置法附則2項に基づき、指定期日現在の事実に遡及して農地買収計画を定めることは、農地改革を免れる脱法行為を防止する趣旨から、特段の事情がない限り「相当」と認められる。
問題の所在(論点)
自作農創設特別措置法附則2項に基づき、農地買収計画を指定期日現在の事実に遡って定めることが認められるための要件、および「相当と認めるとき」の判断基準が問題となる。
規範
自作農創設特別措置法附則2項が、指定期日(昭和20年11月23日)に遡りその時点の事実に基いて買収計画を定めることができるとした趣旨は、農地改革の閣議決定後、所有者が買収を免れるために小作地の取上げや住所変更、名義変更等の策を講じることで農地改革の目的が阻害されることを防ぐ点にある。したがって、買収計画策定時の所有関係が指定期日当時と異なる場合には、特段の事情のない限り、遡及して計画を定めることは「相当」であると認められる。
重要事実
上告人は本件農地の買収計画が定められた時点ではその所有者であった。しかし、指定期日である昭和20年11月23日時点において、本件農地は上告人の所有ではなく、農地所在地区外に居住していたDの所有に属していた。仙台市E地区農地委員会は、同法附則2項に基づき、指定期日現在の事実に基いて本件農地の買収計画を定めた。
あてはめ
本件では、買収計画策定時の所有者(上告人)と指定期日現在の所有者(D)が異なっている。同法の趣旨は、改革を免れるための所有権移転等の脱法行為を無効化することにある。本件において、指定期日当時に地区外居住者(不在地主)であるDが所有していたという事実は、まさに遡及買収の対象となり得る事態であり、これを不当とするような「特別の事由」も認められない。したがって、指定期日に遡って計画を定めることは同法の趣旨に合致し、適法であると評価される。
結論
本件買収計画を指定期日に遡って定めたことは相当であり、上告人の請求は棄却されるべきである。
事件番号: 昭和25(オ)221 / 裁判年月日: 昭和28年2月24日 / 結論: その他
昭和二二年法律第二四一号による自作農創設特別措置法改正後の同法第六条の二第二項各号に該当する場合は、右改正前の同法附則第二項による農地買収計画も違法である。
実務上の射程
行政庁に広範な裁量が認められる農地改革の場面において、脱法行為防止という制度趣旨から遡及適用の「相当性」を肯定した事例である。行政法の答案構成において、法律の遡及的適用や「相当性」という不確定概念の解釈を、制度の目的(趣旨)から導く際の参考となる。
事件番号: 昭和24(オ)322 / 裁判年月日: 昭和26年12月28日 / 結論: 棄却
自作農創設特別措置法第一五条第一項第二号により宅地を買収するについては、その宅地が売渡農地の附属地として利用せられて来たものであることを要しないが、売渡農地の経営に必要な宅地であることを要する。
事件番号: 昭和24(オ)14 / 裁判年月日: 昭和24年7月2日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】行政処分の取消訴訟における出訴期間の起算点に関し、処分の有効・無効は原則として影響せず、処分があったことを知った日から期間が進行する。また、たとえ処分自体に違法の疑いがあっても、法定の不服申立期間を経過した後の提訴は不適法である。 第1 事案の概要:上告人らは、自作農創設特別措置法に基づく被上告委…
事件番号: 昭和25(オ)220 / 裁判年月日: 昭和27年1月25日 / 結論: 棄却
自作農創設特別措置法附則第二項によつて買収計画が定められ、その後右附則第二項が削除され、同法第六条の二ないし五が加えられた場合において、裁判所が買収計画の当否を判断するについては、附則第二項によらなければならない。
事件番号: 昭和24(オ)253 / 裁判年月日: 昭和26年11月2日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】行政事件訴訟特例法5条5項の「特別の定」には、昭和22年3月1日以降に制定された法律が含まれ、たとえそれが従前の法律の改正規定であっても適用される。自作農創設特別措置法47条の2による出訴期間の制限は、同条項の特別の定に該当し、憲法にも違反しない。 第1 事案の概要:上告人は、自作農創設特別措置法…