昭和二二年法律第二四一号による自作農創設特別措置法改正後の同法第六条の二第二項各号に該当する場合は、右改正前の同法附則第二項による農地買収計画も違法である。
昭和二二年法律第二四一号による自作農創設特別措置法改正後の同法第六条の二と右改正前の同法附則第二項による農地買収計画
自作農創設特別措置法(昭和22年法律241号により改正されたもの)6条ノ2,自作農創設特別措置法(昭和22年法律241号による改正前のもの)附則2項
判旨
行政庁(農地委員会)による買収計画の策定は、法が定める買収要件の存否を客観的に判断すべきものであり、行政庁の自由裁量に属するものではない。
問題の所在(論点)
自作農創設特別措置法附則2項に基づく農地買収計画の策定において、買収を「相当と認める」か否かは農地委員会の自由裁量に属するか、あるいは客観的な法的要件として裁判所の審理の対象となるか。
規範
行政庁が特定の処分(買収計画の策定)を行う際、法が「相当と認めたとき」との要件を設けている場合であっても、それは行政庁の自由な判断に委ねる趣旨ではない。法が予定する客観的な事由(信義則に反しないこと等)が存在する場合に限り処分は適法となるのであり、その判断は裁判所の司法審査に服する。
重要事実
被上告人Bと訴外Dとの間の農地賃貸借契約が昭和21年に合意解除された。その後、昭和22年に農地委員会(上告人)が当該農地について遡及買収計画を策定した。これに対し、原審はDによる買収申請が自作農創設特別措置法(当時)の趣旨に照らし「信義に反する」として、同計画を違法と判断した。上告人は、買収の相当性は農地委員会の自由な裁量に属すると主張して上告した。
事件番号: 昭和25(オ)220 / 裁判年月日: 昭和27年1月25日 / 結論: 棄却
自作農創設特別措置法附則第二項によつて買収計画が定められ、その後右附則第二項が削除され、同法第六条の二ないし五が加えられた場合において、裁判所が買収計画の当否を判断するについては、附則第二項によらなければならない。
あてはめ
農地法制の目的は適正な自作農の創設にあり、遡及買収の認否は法の趣旨に従い客観的に判断されるべきものである。本件において、旧法附則2項の「相当と認めたとき」という規定は、後に改正法で具体化された「信義に反する場合(買収を相当と認めない場合)」を既に含んでいたと解すべきである。原審が認定した事実に照らせば、Dの申請は信義に反するものであり、客観的に「買収を相当とする場合」には該当しない。したがって、委員会がこれを相当と認めて計画を定めたことは、法の期待に反し違法である。
結論
買収計画の策定は行政庁の自由裁量ではなく、客観的な相当性を欠く場合は違法となる。原判決が本件買収計画を違法とした判断は正当である。
実務上の射程
行政庁の判断に「相当と認めるとき」といった文言がある場合の裁量の有無・幅が問題となる場面で活用できる。本判決は、専門的判断が必要な場面であっても、法の趣旨や客観的事実に基づき、裁判所がその判断の当否を厳格に審査し得ることを示した事例として位置づけられる。
事件番号: 昭和24(オ)221 / 裁判年月日: 昭和25年8月29日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】自作農創設特別措置法附則2項に基づき、指定期日現在の事実に遡及して農地買収計画を定めることは、農地改革を免れる脱法行為を防止する趣旨から、特段の事情がない限り「相当」と認められる。 第1 事案の概要:上告人は本件農地の買収計画が定められた時点ではその所有者であった。しかし、指定期日である昭和20年…
事件番号: 昭和25(オ)25 / 裁判年月日: 昭和28年12月24日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】農地の合意解約が一応適法に成立した場合であっても、その内容が正当なものとは認められない限り、当該合意解約を理由に農地の買収計画を排除することはできない。農地の集中を生じない場合であっても、適法な合意解約の存在のみによって遡及的な買収計画の策定が制限されるものではない。 第1 事案の概要:上告人と小…
事件番号: 昭和26(オ)3 / 裁判年月日: 昭和29年2月25日 / 結論: 破棄差戻
自作農創設特別措置法第三条第一項第一号によつて準地区として指定すべき区域について指定を行わず、その区域内の農地を不在地主の小作地として買収することは違法である。
事件番号: 昭和24(オ)223 / 裁判年月日: 昭和29年9月28日 / 結論: 破棄差戻
【結論(判旨の要点)】農地委員会は、客観的に準区域と認められる農地を準区域として指定・承認すべき法律上の義務があり、これを怠ってなされた買収処分は違法となる。また、買収処分の取消訴訟等において、当該指定がなされなかった違法を主張することが認められる。 第1 事案の概要:上告人の所有する本件土地(a部落)はb村に所在する…