判旨
上告審において初めて提出された証拠は採用できず、また、原審の証拠取捨や事実認定は裁判所の裁量に属する専権事項である。
問題の所在(論点)
上告審において新証拠を提出することの可否、および原審の証拠取捨・事実認定を上告理由として争うことの適否(民事訴訟法旧401条、現312条・325条関連)。
規範
民事訴訟において、上告審は法律審であるため、原審で提出されていない新たな証拠を提出することはできない。また、証拠の取捨選択および事実の認定は、特段の事情がない限り、原審の裁量に委ねられる。
重要事実
上告人が、原審(控訴審)では提出していなかった書証(甲第二、三号証)を上告審において新たに提出し、併せて原審の証拠取捨および事実認定を不当として非難した事案である。
あてはめ
上告人が提出した甲第二、三号証は原審において提出されていないため、法律審たる上告審では採用の余地がない。また、上告理由のうち事案の認定等に関する主張は、原審の裁量に属する証拠の取捨および判断事実の認定を非難するものにすぎず、適法な上告理由とは認められない。
結論
本件上告は棄却される。原審の判断に違法はなく、新証拠に基づく事実争いは許されない。
実務上の射程
上告審が法律審であり、新証拠の提出が許されないという民事訴訟の基本原則を確認する際に用いる。事実認定に関する不服は、経験則・論理則違反等の特段の事情がない限り、上告理由として認められないことを示す典型例である。
事件番号: 昭和24(オ)186 / 裁判年月日: 昭和26年1月26日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】民事訴訟における証拠の取捨選択および事実認定は、原審の裁量に属する専権事項であり、単なる事実誤認の主張は適法な上告理由に当たらない。 第1 事案の概要:上告人は、原審が行った証拠の取捨選択および事実認定に不服があるとして上告を申し立てた。しかし、判決文によれば、原審の証拠判断および事実認定の手続き…
事件番号: 昭和28(オ)1013 / 裁判年月日: 昭和29年11月25日 / 結論: 棄却
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事件番号: 昭和33(オ)26 / 裁判年月日: 昭和34年7月2日 / 結論: その他
【結論(判旨の要点)】売買の予約の成立を認めるためには、その前提となる事実について証拠に基づき合理的に認定する必要があり、供述内容が予約ではなく本契約の成立を指している場合には、予約の成立を認めることはできない。 第1 事案の概要:被上告人(原告)が上告人(被告)から土地200坪を単価140円で購入したと主張し、売買一…
事件番号: 昭和29(オ)464 / 裁判年月日: 昭和31年5月25日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】本件不動産の所有権移転登記が寄託の趣旨でなされたとの主張に対し、原審がそのような事実を認定していない以上、その前提を欠く論旨は上告理由として認められない。 第1 事案の概要:上告人は、本件不動産の所有権移転登記が「寄託」の意味でなされたものであると主張し、原判決の判断を不服として上告した。しかし、…
事件番号: 昭和34(オ)1210 / 裁判年月日: 昭和36年10月19日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】裁判所が当事者の主張した日時や形式とは異なる態様で契約の成立を認定しても、それが当事者の主張の範囲内における事実の評価にすぎない場合には、弁論主義に反しない。 第1 事案の概要:被上告人(建築主)が、上告人(施工者)に対し、建物建築請負契約に基づき建物の引渡し等を求めた事案。被上告人は「昭和24年…