判旨
事実認定の妥当性について、挙示された証拠に基づく判断が経験則に反しない限り、原審の適法な事実認定は上告理由とならない。
問題の所在(論点)
原審による事実認定(本件取引が売買契約であるか否か等)に、経験則違反や理由不備・理由矛盾といった違法があるか。
規範
事実認定は、証拠の総合的な評価に基づき裁判官の自由な心証によって行われる。上告審においては、原審の認定が経験則(実験法則)に反するなど不合理な点がない限り、その認定を適法なものとして維持すべきである。
重要事実
上告人は、甲第1号証(契約書等)や乙第1号証の記載、および被上告人本人の供述等を根拠として、本件取引の本質が売買であると主張した。また、玄米交付の履行を請求する書簡(乙第4号証の1、2)や違約金に関する条項の存在を、売買契約の成立を裏付ける事実として主張した。これに対し、原審はこれらの証拠を検討した上で、直ちに売買契約であるとは認定しなかった。
あてはめ
原審が挙示した証拠による認定は、経験則に照らして不合理とはいえない。被上告人の供述は証書の作成に関するものに留まり、取引の性質を決定づけるものではない。また、玄米交付の請求書面や違約金の記載は、必ずしも売買契約の存在を唯一の結論とするものではなく、原審がこれらを考慮した上で売買を否定した判断に矛盾はない。したがって、上告人の主張は単なる事実認定の非難に帰する。
結論
本件上告は棄却される。原審の事実認定は適法であり、上告理由には当たらない。
実務上の射程
民事訴訟における事実認定の専権と、上告審での救済範囲を画定する際の基礎的な判断基準となる。答案上は、証拠評価が経験則に反しない限り事実認定が維持されるという原則を確認する際に参照される。
事件番号: 昭和33(オ)313 / 裁判年月日: 昭和35年6月28日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】裁判所が特定の者を代理人と認定する場合、証拠に基づいてその事実を認定すれば足り、当該認定に至る証拠理由の詳細までを判示する必要はない。 第1 事案の概要:訴外人が特定の人物の代理人であるか否かが争点となった事案において、原審は挙示の証拠に基づき、当該訴外人を代理人と認定した。これに対し、上告人は、…