判旨
裁判所が特定の者を代理人と認定する場合、証拠に基づいてその事実を認定すれば足り、当該認定に至る証拠理由の詳細までを判示する必要はない。
問題の所在(論点)
代理人の資格の有無という事実認定において、判決書にその認定に至る具体的な証拠理由を詳細に記載する必要があるか(理由不備の有無)。
規範
事実認定の基礎となる証拠理由の判示については、証拠に基づいて適法に事実が認定されている限り、その詳細な思考過程までを個別具体的に説明する必要はない。
重要事実
訴外人が特定の人物の代理人であるか否かが争点となった事案において、原審は挙示の証拠に基づき、当該訴外人を代理人と認定した。これに対し、上告人は、代理人と認定した証拠理由が判示されていないことをもって判断遺脱および理由不備の違法があると主張した。
あてはめ
本件において、原判決は挙示の証拠によって代理関係の事実を適法に認定している。訴外人を代理人と認定するにあたって、どの証拠のどの部分からそのような結論を導き出したかという具体的な証拠理由の判示が欠けていたとしても、事実認定そのものが証拠に基づいている以上、理由不備等の違法は存在しないと解される。
結論
事実認定に至る証拠理由の不判示は違法ではなく、原審の認定は適法であるため、本件上告は棄却される。
実務上の射程
民事訴訟法上の「理由不備」の主張に対し、裁判所の自由心証に属する事実認定の過程については、主要事実の認定がなされている限り、詳細な証拠の評価プロセスの不記載は直ちに違法とはならないことを示す。実務上、事実認定の不服申し立てに対する反論として有用である。
事件番号: 昭和24(オ)181 / 裁判年月日: 昭和25年4月25日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】事実認定の妥当性について、挙示された証拠に基づく判断が経験則に反しない限り、原審の適法な事実認定は上告理由とならない。 第1 事案の概要:上告人は、甲第1号証(契約書等)や乙第1号証の記載、および被上告人本人の供述等を根拠として、本件取引の本質が売買であると主張した。また、玄米交付の履行を請求する…