判旨
裁判所の所在地に住所等を有しない訴訟代理人が送達受取人の届出を怠った場合、民事訴訟法上の規定に基づく書留郵便による発送をもって、現実に書類が到着したか否かにかかわらず、発送時に送達があったものとみなされる。
問題の所在(論点)
送達受取人の届出がない場合に、当時の民事訴訟法170条2項(現107条1項)に基づく発送による送達(郵便付記送達)が行われた際、送達の効果が生じる時期はいつか。現実の到着日か、それとも発送時か。
規範
裁判所の所在地に住所、居所、営業所又は事務所を有しない訴訟代理人等が、送達受取人の届出(民事訴訟法104条1項、当時の170条1項参照)をしないときは、裁判所書記官は、送達すべき書類を発送し、その発送の時に送達があったものとみなすことができる(同法107条1項、3項、当時の170条2項、173条参照)。この「発送の時」とは、郵便物に付して発送した時点を指し、現実の到達時期を問わない。
重要事実
第一審裁判所(山口地裁下関支部)の所在地に住所等を有しない被告代理人弁護士が、送達受取人の届出を行わなかった。裁判所は、昭和23年11月26日に第一審判決を書留郵便に付して発送した。これに対し、被告側は、当該郵便物が現実に到着したのは同年11月30日であると主張し、発送日から起算して控訴期間を徒過した同年12月11日に控訴を提起した。
あてはめ
本件において、被告代理人は裁判所所在地に拠点を持たず、かつ送達受取人の届出も怠っていた。このため、裁判所が当時の民訴法170条2項に従い、11月26日に判決書を書留郵便で発送したことは適法である。同法173条(現107条3項)によれば、発送の時に送達があったものとみなされるため、現実の到着が11月30日であったとしても、送達日は11月26日となる。この日から起算すると、控訴期間は12月10日をもって満了する。
結論
12月11日に提起された本件控訴は、控訴期間徒過後の不適法なものとして却下されるべきである。発送をもって送達とみなす判断は正当である。
実務上の射程
送達受取人届出義務(104条)を怠った者に対する制裁的側面を持つ発送送達(107条)の効力発生時期を明確にしたものである。実務上、遠隔地の代理人が届出を怠った場合、郵便の遅延にかかわらず発送時に期間が進行し始めるリスクを示す判例として、期間遵守の重要性を説く文脈で引用される。
事件番号: 昭和50(オ)636 / 裁判年月日: 昭和51年5月25日 / 結論: 破棄差戻
当事者が訴訟の進行中に在監者となり、裁判所にその旨の届出をしなかつた場合でも、その者の住所においてその者を受送達者としてされた送達は、無効である。