判旨
上告審において、原判決が認定していない事実を主張し、または証拠調べ(本人尋問)の結果を援用しないことが不当であると主張することは、適法な上告理由に当たらない。
問題の所在(論点)
原判決が認定していない事実の主張や、特定の証拠(本人尋問結果)を援用しなかったことへの不満が、民事訴訟法上の適法な上告理由(法律違反)に該当するか。
規範
民事訴訟法における上告審は、原則として法律審である。そのため、原判決が確定した事実に拘束され、原判決が認定していない新たな事実を主張することや、事実認定に関する裁判所の証拠選択の不当を訴えることは、特段の事情がない限り法令違反の主張としては認められない。
重要事実
上告人は、原判決が認定していない事実を新たに主張した。また、原審において上告人等の本人尋問の結果が援用(証拠採用)されなかったことが不当であるとして、原判決の取消しを求めて上告した。
あてはめ
上告人の主張は、いずれも原判決が認定していない事実を前提とするものである。また、特定の証拠を採用しなかったことの不当性を指摘するのみであり、それ自体が原判決における具体的な法令の適用・解釈の誤り(法令違反)を指摘するものとは認められない。
結論
本件上告理由は、原判決の法令違反を理由とするものではないため、採用できず、上告を棄却すべきである。
実務上の射程
上告審における事実認定の専権と法律審としての性格を確認した事例である。実務上、上告理由書において事実誤認を単に争うことは許されず、憲法違反や重大な訴訟手続の違反、または判例違反等の具体的かつ法的な瑕疵を指摘しなければならないことを示唆している。
事件番号: 昭和34(オ)1230 / 裁判年月日: 昭和36年1月31日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】上告理由が原判決の事実認定を非難するにすぎない場合や、裁判官が審理に関与していないという主張に客観的な根拠がない場合には、上告は棄却される。 第1 事案の概要:上告人は、原判決における証拠の取捨判断および事実認定を非難し、さらに、裁判官が実質的に審理裁判に関与していないと主張して、憲法違反および法…