判旨
憲法違反を主張する上告であっても、その実質が事実誤認や単なる訴訟法違反の主張にすぎない場合は、上告理由に当たらない。法令の解釈に関する重要な主張を含まない限り、民事上告事件の特例法に基づき棄却されるべきである。
問題の所在(論点)
形式的に憲法違反を主張する上告が、実質において事実誤認や単なる訴訟法違反の主張に留まる場合に、民事上告事件の審判の特例に関する法律に基づく適法な上告理由(特に法令の解釈に関する重要な主張)として認められるか。
規範
憲法違反を名目とした上告であっても、実質において事実誤認あるいは単なる訴訟法違反を主張するものは、最高裁判所における民事上告事件の審判の特例に関する法律1号から3号のいずれにも該当せず、かつ法令の解釈に関する重要な事項を含むものとは認められない。
重要事実
上告人は憲法違反を理由として本件上告を提起したが、その具体的な主張内容は事実認定の誤り、および当該事実を前提とした訴訟手続上の違法を指摘するものであった。上告理由は形式的には憲法違反を掲げていたが、実質的には事実関係や手続の適否を争うものであった。
あてはめ
上告人の主張は、憲法違反という名目を借りているものの、その実質的な内容は事実誤認およびこれを前提とする単なる訴訟法違反の主張にすぎない。これは特例法1号ないし3号のいずれにも該当せず、また、憲法判断や法令の一般的な解釈指針を示すような「法令の解釈に関する重要な主張」を含むものとも評価できない。したがって、形式的な憲法違反の主張に拘泥せず、実質を重視して不適法な上告と判断される。
結論
本件上告は棄却される。実質的に事実誤認等を争う主張は、適法な上告理由に該当しない。
実務上の射程
民事訴訟における上告理由の適格性を判断する際の指針となる。形式的に憲法違反を仮装しても、内容が事実誤認や単なる訴訟法違反であれば、特例法によって門前払いされる可能性があることを示している。実務上は、単なる事実関係の不服を憲法論に強引に結びつけることの限界を示す例として参照される。
事件番号: 昭和28(オ)764 / 裁判年月日: 昭和29年3月19日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】本件は、上告理由が民事上告事件の審判の特例法に定める事由に該当せず、法令の解釈に関する重要な主張も含まないとして、上告を棄却したものである。 第1 事案の概要:上告人が提起した上告について、最高裁判所がその適法性および上告理由の有無を検討した。上告人は上告理由を主張したが、判決文からは具体的な事案…