県立高等学校教諭がいわゆる自主研修を行うことにより、その予定日に実施される定期考査やその他の校務の円滑な執行に支障が生じるおそれがないとはいえない上、右研修を右予定日の勤務時間内に勤務場所を離れて行うべき特別の必要があったともいえないという事情があるときには、県立高等学校長が右研修につき教育公務員特例法二〇条二項に基づく承認を与えなかった措置に裁量権の逸脱、濫用はない。
県立高等学校長が教育公務員特例法二〇条二項に基づく研修の承認を与えなかった措置に裁量権の逸脱・濫用はないとされた事例
教育公務員特例法20条2項,行政事件訴訟法30条
判旨
教育公務員特例法20条2項に基づく研修承認の可否は任命権者の裁量に属し、研修による校務の円滑な執行への支障の有無や、勤務時間内に勤務場所を離れて行う特別の必要性を考慮して判断される。
問題の所在(論点)
教育公務員の勤務場所外研修の承認(教育公務員特例法20条2項)に関する任命権者の判断が、裁量権の逸脱・濫用に該当するか。特に、校務への支障の予見可能性と研修の必要性が判断基準としてどのように機能するか。
規範
教育公務員特例法20条2項に基づく承認は、任命権者の合理的な裁量に委ねられる。その判断においては、①当該研修を行うことにより校務の円滑な執行に支障が生じるおそれがないか、②当該研修を勤務時間内に勤務場所を離れて行うべき特別の必要性があるか、という各要素を総合的に考慮すべきである。これらに照らし、承認を与えない判断が裁量権の範囲を逸脱し、又はこれを濫用したと認められない限り、当該措置は適法となる。
重要事実
公立学校の教諭である上告人が、教育公務員特例法20条2項に基づき、勤務時間内に勤務場所を離れて研修を行うことの承認を求めた。しかし、任命権者(被上告人)はこれを承認しなかった。当該研修予定日には定期考査やその他の校務が予定されていたという事実関係が存在した。
あてはめ
本件では、上告人が研修を実施することにより、研修予定日に実施される定期考査やその他の校務の円滑な執行に支障が生じるおそれがないとはいえない。また、本件各研修をあえて勤務時間内に、かつ勤務場所を離れて行うべき特別の必要性があったとも認め難い。これらの事実に照らせば、校務の優先性と研修の緊急性・代替不可能性の不備が認められるため、承認拒否の判断に合理性があるといえる。
結論
本件各研修につき承認を与えなかった措置は、裁量権を逸脱・濫用したものとはいえず、適法である。
実務上の射程
教育公務員の研修権と職務専念義務の調整に関するリーディングケースである。答案上は、行政法の「裁量権の逸脱・濫用」の文脈で、考慮要素(校務の支障、場所外研修の必要性)を具体的事実から抽出・評価する際の枠組みとして活用する。学校運営の円滑化という目的との比例原則的な検討にも資する。
事件番号: 平成2(オ)576 / 裁判年月日: 平成3年11月19日 / 結論: 棄却
労働者が請求していた年次有給休暇の時季指定日に、たまたまその所属する事業場において予定を繰り上げてストライキが実施されることになり、当該労働者が、右ストライキに参加しその事業場の業務の正常な運営を阻害する目的をもって、右請求を維持して職場を離脱した場合には、右請求に係る時季指定日に年次有給休暇は成立しない。
事件番号: 平成22(行ヒ)102 / 裁判年月日: 平成24年4月20日 / 結論: 破棄自判
1 市がその職員を派遣し又は退職の上在籍させている団体に対し公益的法人等への一般職の地方公務員の派遣等に関する法律所定の手続によらずに上記職員の給与相当額の補助金又は委託料を支出したことにつき,次の(1)〜(4)など判示の事情の下では,市長に過失があるとはいえない。 (1) 同法は,地方公共団体が上記団体に支出した補助…