個人の国又は地方公共団体に対する寄付金に関する所得控除について限度額を設けている所得税法七八条一項、二項一号の規定は、法人税法三七条三項一号が法人に関する同様の寄付金についてその全額の損金算入を認めているからといって、憲法一四条一項、八四条に違反するものではない。
所得税法七八条一項、二項一号と憲法一四条一項、八四条
憲法14条1項,憲法84条,所得税法78条1項,所得税法78条2項1号,法人税法37条3項1号
判旨
所得税法が個人の寄付金控除に限度額を設ける一方で、法人税法が原則全額損金算入を認める区別は、立法府の裁量権の範囲内であり、憲法14条1項及び84条に違反しない。
問題の所在(論点)
個人の国等に対する寄付金控除に限度額を設ける所得税法の規定が、法人の全額損金算入を認める法人税法との対比において、憲法14条1項および84条に違反するか。
規範
租税法の分野における立法に関しては、立法府に広範な裁量権が認められる。したがって、税制上の区別取扱いが憲法14条1項に違反するか否かは、その差別的取扱いに合理的な根拠が認められるか、あるいは著しく不合理であるといえるか否かによって判断すべきである(サラリーマン税金訴訟大法廷判決の趣旨)。
重要事実
上告人(個人)は、国または地方公共団体に対して寄付を行った。所得税法78条1項、2項1号は、個人の寄付金控除について一定の限度額を設けている。これに対し、法人税法37条3項1号は、法人の国等に対する寄付金を原則として全額損金算入できるとしている。上告人は、この個人と法人の取扱いの差異が、憲法14条1項(法の下の平等)および84条(租税法律主義)に違反すると主張して争った。
あてはめ
所得税と法人税は、課税対象の性質や政策的目的が異なる体系である。個人と法人の経済的性格や担税力の差異を考慮し、寄付金の控除方法に差を設けることは、立法府の政策的・技術的な判断に委ねられるべき事項である。本件の区別は、サラリーマン税金訴訟等の先例の趣旨に照らせば、合理的な根拠を欠く著しく不合理な差別とはいえず、立法府の裁量権の範囲内にあると解される。
結論
所得税法78条1項、2項1号の規定は、憲法14条1項および84条に違反しない。
実務上の射程
租税法上の違憲審査基準(立法裁量論・合理性の基準)を確認する判例である。答案では、所得区分や控除の有無による区別が問題となる事案において、広範な立法裁量を前提としつつ、その区別が「著しく不合理」か否かを検討する際の枠組みとして活用する。
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所得税法二五条二項二号の規定は、憲法二九条、八四条に違反しない。